海坂屋@東中野 「汐そば」

海坂屋@東中野・20160201・西口
 超久々に新宿方面でお仕事、もうこの近辺には宿題店が山盛りになっており、脳内メモリもパンク気味ですが……かなり気になっていた東中野「海坂屋」へ。場所は、東中野駅西口から山手通りを南へ少し、通り向こうに「みそや林檎堂」があるあたり。それにしても、駅西口あたりは以前と見違えるような風景ですな。
海坂屋@東中野・20160201・店舗
海坂屋@東中野・20160201・メニュー
 昨年11月オープンのこのお店、ベーススープを4種類仕込むという凝った営業で、メニューも「海坂そば」(鯛アラ・塩)、「煮干中華そば」(醤油)、「汐そば」(貝出汁・塩)、「鶏そば」(塩)と4種類あり、「汐そば」「鶏そば」は数量限定。事前に、注文は「汐そば」(880円)と決めていましたが、120円増しで「特製」にすると、鶏チャーシュー・海老雲呑・味玉がつくとか……悩みましたが、繊細な味と聞いているので、具材の味に邪魔されぬよう「味玉」(100円)だけを追加しました。
海坂屋@東中野・20160201・汐そば海坂屋@東中野・20160201・スープ
 それでは、スープを一口……おぉ、これは結構面白い「仕掛け」。浅利やハマグリの貝出汁に、アゴ・鯛煮干しの出汁を加えたというこのスープ、前面に来るのは貝出汁で、風味にホンビノス貝的なニュアンスも感じますが、基本的には風味を抑え旨味を強調した仕上げ。これに、煮干し系の旨味がソッと仕込んでありますが……口の中で岩海苔と合わさると、コハク酸(貝)・イノシン酸(煮干)・グルタミン酸(海苔)の「三位一体」が完成し、旨味が弾けるようにシナジーして、急激に旨味が強まります。これを邪魔しないよう、塩ダレは控えめで、動物系も使ってないと見ましたが……さて。
海坂屋@東中野・20160201・麺
 麺は三河屋製麺製で、やや細めの中太ストレート。配膳時に、「スープを吸いやすい麺ですのでお早めに」とアナウンスがありますが、「煮干中華そば」の客さんには声がかかりませんでしたので、メニューによって麺を変えているのかも。繊細にして素直な甘味、ソフトな歯切れに適度なコシ、そして多少ザラツキのある麺肌と、「これぞ三河屋」という仕上がり。繊細なスープに繊細な麺が組み合わさって、実に上品な雰囲気を醸しています。
海坂屋@東中野・20160201・岩海苔
海坂屋@東中野・20160201・ホンビノス
 具材は、チャーシュー、ホンビノス貝、メンマに赤カブ(?)、岩海苔・スダチと薬味のネギに、追加の味玉。白眉はやはり岩海苔で、コイツを麺に絡めていただきますと……弦楽四重奏に、時折フルートの響きが加わるような、なんともいえぬ「口福感」。チャーシューは低温調理の肩ロース、スープを邪魔しないよう慎重に調整されたものですが、ここまで気を遣うのなら、チャーシュー自体必要かなぁ……ホンビノス貝を追加するだけでもいいような。

海坂屋@東中野・20160201・品書き
 旨味に敏感な人ならば、是非食べておくべき一杯ですが……多くの人にとっては、旨味は他の味覚の「付属品」ですので、旨味主体で高度な技を繰り出されても、その凄みは伝わらず物足りないだけかもしれません……と思っていたら、続々入店されるお客さんの注文は、意外に「汐そば」に偏っていたりして。日本人の味覚に対する私の偏見に、ちょっと恥ずかしさをおぼえた一杯でした。

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肉煮干し中華そば さいころ@中野 「背脂肉煮干し中華そば」

さいころ@中野・20150503・駅前
 週末は4軒連続でフラれるという悪夢に遭遇しましたが、それでも気を取り直せたのは、月曜は2カ月ぶりに新宿方面で食べられるから。以前より、中野某新店で食べると決めており、小雨の中イソイソ向かいますが……なんと定休日。完全に私のリサーチ不足、ガックリ肩を落とすと同時に、煙るような激しい雨になってきました。やむを得ず、近所の「さいころ」に避難。
さいころ@中野・20150503・店舗
さいころ@中野・20150503・券売機
 自己ルールでは、雨の日は背脂・具材増しは厳禁(ウォーキングできないため)ですが、自分の準備不足があまりに腹立たしく、敢えて逆を行って「背脂肉煮干し中華そば」(810円)をポチッとな。カウンターで肩を落とすうち、約8分で丼到着。
さいころ@中野・20150503・背脂煮干
さいころ@中野・20150503・スープ
 背脂は、丼へスープ・麺を投入した後具材と一緒に入れるようで、丼の一画に偏っています。なので背脂濃度に変化が生まれ、写真の状態は「中」程度、まずは一口いただきますと……動物系は豚骨主体で硬質なコク、これに絡む魚介系も、宗田節のハードな風味にガッツリ煮干を盛ってくるわけですが……カタクチにマイワシを重ねることで、グッとソリッドな風味に仕上がっています。さらに背脂のコッテリ感が加わって、まずはお約束の美味さですが……背脂と煮干が織りなすあの独特の「シナジー」は、間欠的に伝わる程度。
さいころ@中野・20150503・麺
 麺は自家製で、かなり太めの中太ストレート(切り刃14番)。かん水少な目なため饂飩のような風味ですが、モチモチとした食感と弾力は一種独特。小麦の素朴な甘味がストレートに引き出されて、スープと上手く融け合います。
さいころ@中野・20150503・チャーシュー
 具材は、チャーシューがたっぷりと、メンマ・ナルト、そして薬味のネギ。チャーシューはバラ肉使用、タップリまとった脂身が、いい塩梅に醤油ダレを吸っており、スープの背脂と見事にコラボ。脂に脂を重ねる世界だからこそ、アッサリしたメンマやネギの薬味が効いてきますな。

さいころ@中野・20150503・能書 「豚骨魚介」全盛時代には、背脂と煮干粉による香味油で、チャッチャした背脂と煮干出汁を繋ぐ演出も一部見られましたが、そういう「小手先」に頼らず、「正攻法」で「背脂煮干し」を表現した一杯。以前「肉煮干し中華そば」をいただいた時は、浅草「つし馬」系の印象を持ちましたが、こうして背脂が加わると、燕三条系のような気もしますな……(ちょっと醤油控えめで味が上品ですが)。まぁ、おそらくはどちらでもなく、独自に生み出された、スタイリッシュでスマートな「背脂煮干し」。近所の某新店にも、十分対抗可能ですな。

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担々麺 ほおずき@中野 「担々麺」

ほおずき@中野・20150207・駅前
 久々に新宿方面でお仕事、ランチは中野の新店を狙いましたが、第一候補は満員店外待ちで、第二候補は定休日(リサーチ不足)。あえなくネタ切れと相成ったわけですが……脳内の宿題店DBを検索すると、「ほおずき」がヒットしたので、そちらへ。
ほおずき@中野・20150207・店舗
ほおずき@中野・20150207・メニュー
 場所は、中野ブロードウェイの入口から右脇へ抜ける路地にあり、おそらくオープンしてから5年ほど。いろいろメディアにも取り上げられる有名店ですが、恥ずかしながらまだ未食でした。メニューは基本的に担々麺一本、満員の店内に飛び交う注文に耳を傾けると、「排骨」や「太肉」が人気のようですが、初訪ゆえとりあえず「担々麺」(800円)で、辛さは「普通」(メニュー表記は「小学生高学年でも食べれる辛さ」)でお願いしました。
ほおずき@中野・20150207・担々麺
ほおずき@中野・20150207・スープ
 奥から手前へ斜めにカットしたような丼で登場。まずはスープを一口……辛さ指定のせいもあるのでしょうが、見かけによらず上品な味。ベースは鶏ガラの清湯でスマートな味わい、辣油は唐辛子・花椒だけでなくスパイスを使って奥行きのある独特の風味に仕上がっており、これに干しエビの風味が豊かに絡んで……特筆すべきはこの三者のバランスで、どれも突出させずに敢えて「パンチ」を排した、外連味のない円熟した味わい。
ほおずき@中野・20150207・麺
 麺は中太縮れで、全粒粉使用とか。固めにゆで上げた麺はコシも強く、縮れが具材類をグイグイ持ち上げて、肉汁や海老風味の中から、小麦の甘みがグイッと力強く立ち上がってきます。世の担々麺は、どちらかといえば麺の存在感が弱めですが、そういう意味でちょっと異色。
ほおずき@中野・20150207・具材
 具材は、挽肉、小松菜、ザーサイに干しエビ。挽肉は肉汁タップリで絶妙の仕上がり、ザーサイもキッチリと塩が抜いてあり、サッパリ感と食感の変化に徹しています。ほおずき@中野・20150207・追い飯

 ライスは普通盛り・一杯までおかわり無料、例によって少な目でお願いし、少しだけ担々おじやを試しましたが……具材の量が多いので、最後までスープ+具材+ライスの妙が楽しめて、いやコイツは美味い。

ほおずき@中野・20150207・卓上 高い技術があるからこそ実現できた、スマートで、ある意味「エレガント」な担々麺。事実、満員の店内は三割以上が女性客で、乱暴な「パンチ」のない味が、幅広い支持を集めていることが分かります。それに「パンチ」の欲しい男性客は、辛味を増して「排骨」や「太肉」を頼めばよい訳で……中野には数知れず通いながら、こんな名店を後回しにしていたなんて、恥じ入るばかりのオジさんでした。

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肉煮干し中華そば さいころ 中野本店@中野 「120%煮干し冷しそば」

さいころ@中野・冷やし・20130910・氷屋
 もう9月に入ったというのに、相変わらずの猛暑。しかし、台風が近づくなど秋の気配も感じられて……季節限定の「冷やし」についても、そろそろ宿題を片付けておく必要がありそうですな。ずっと気になっていた、中野「さいころ」の限定狙い。
さいころ@中野・冷やし・20130910・店舗
さいころ@中野・冷やし・20130910・ポップ
 お目当ては「120%煮干し冷しそば」(750円)、下手すると8月一杯で終了かなと心配しておりましたが、ポップが掲示されていてひと安心。券売機脇の表示では「限定30食」とありましたが、店外や卓上のポップには杯数限定の記載なし。11時過ぎの入店でしたが、すでに客入り5割ほどと、相変わらずの人気ぶり。
さいころ@中野・冷やし・20130910・煮干し冷し
さいころ@中野・冷やし・20130910・出汁 銀のさらに透明な丼、琥珀色の半透明なスープに万能ねぎの鮮やかな緑と、なんとも涼しげな丼姿。別皿で供されるのは「煮干し油」で、後半のお楽しみ。では、スープを一口……いやぁ、これは美味い! 能書きによれば、動物系は一切使用せず、頭とワタを取り除いた九十九里産煮干しだけでとったという出汁がベース。九十九里の煮干しには青口と白口がありますが、このカッチリした風味は明らかに青口で、下処理をしたものを通常の2倍使って、非常に分厚い旨味とソリッドな風味を実現。カエシの使い方も絶妙で、この力強い出汁を、やんわり繊細なタッチで引き締めています。
さいころ@中野・冷やし・20130910・麺
 麺は細麺ストレートで、この店のことですから自家製でしょう。固めにゆで上げた麺を、さらに冷水で引き締めて、ポリポリとした硬質な歯応えと強いコシ。これはこれで「涼」を感じさせますが、個人的には柔らかめにゆで上げて、サワサワと出汁に泳がせるかたちが好みかも……
さいころ@中野・冷やし・20130910・具材 具材は、チャーシュー、メンマに、タップリの万能ネギ。特筆はなんといってもこのネギで、特有のかすかな苦みが、煮干し特有の苦みと絶妙にコラボして、巧みに麺の甘みを浮き彫りにしています。メンマのシャクシャク感もいうことなしですが……このバラロール・チャーシューは、どうかな。イワシのツミレでも2、3個添えてあった方が、さらによかったかも。さいころ@中野・冷やし・20130910・煮干し油

 さて、お楽しみの「煮干し油」ですが、これでガツンと苦みとクセを演出するのかと思いきや、こちらも煮干し風味は上品で、油でコッテリ感を演出する趣向。出汁本来の旨味・風味を強めつつ、全体の分厚さを増すような、そんな演出。

さいころ@中野・冷やし・20130910・卓上 きっと誰かが、どこかでやってくれるんじゃないか……個人的にはそんな期待をしていた一品に、思いがけなく出会えました。煮干しを丸ごとドサドサとブチ込んで、エグミ・苦みごと引き出された味が、ラーメンの世界では「煮干し」味として記号化されていますが……それはこの世界だけの話。和食の世界では、頭・ワタをキチンととるのが当たり前、その淡泊で端麗な旨味の次元を、煮干し量を増やすことでグイグイ凝縮して、逆にラーメンの次元に近づけるというアプローチ、誰もが理論的にはあり得べしと思っていても、あまりに手間がかかるため、誰もやらないこの境地。「さいころ」さんのベンチャー・スピリットに、乾杯。

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東京煮干屋本舗@中野 「味玉ラーメン」

東京煮干屋本舗@中野・20130521・交差点
 4月24日、中野にオープンした「東京煮干屋本舗」。こんなストレートなネーミングでは行列必至、私のような行列アレルギーにはちょっと近寄れません。GWをはさみ、少しほとぼりが冷めたころ訪店。お店は早稲田通りと中野通りの交差点のすぐ近く。
東京煮干屋本舗@中野・20130521・店舗
東京煮干屋本舗@中野・20130521・券売機
 メニューは、実質「ラーメン」一本。トッピングの「揚げ煮干増し」(100円)なるものがやたらと気になりますが、とりあえずは「味玉ラーメン」(750円)のでっかいボタンを、ポチッとな。11時45分頃入店で先客4名、その後どんどんお客さんが増え、正午5分前には満席になりました。丼は約4分で到着。
東京煮干屋本舗@中野・20130521・味玉ラーメン
東京煮干屋本舗@中野・20130521・スープ
 では、スープを一口……なるほど、ネットでも指摘がありましたが、たしかに中野の某老舗との共通点を感じますな……でも、上手くアレンジしてあります。ベースは鶏が主体なのか柔らかなコクの白湯で、実にマイルド。某老舗のWスープも、年を経るにつれマイルド感が増していますが、それに対してさらにコクの優しさをプラスしてあります。そして煮干の「感じさせ方」が絶妙で、香りはシッカリ主張させ、エグミを排しながら風味もシッカリ、それでいて全くワザとらしさがありません。エグミを好む「煮干狂」のラヲタ向けでなく、一般向けに非常に上手く調整された風味ですな。
東京煮干屋本舗@中野・20130521・麺
 麺は、大成食品製の中太ストレート。スープの風味を意識してかかん水を抑え、加水率も微妙に調整しながらスープの吸いも意識しており、それでいてコシ・歯切れ・ノド越しをバランスよく実現させるという、非常によく考えられた麺。逆に言えば、ラヲタから見れば突出した特徴がないことになりますが、一般向けとしてよく吟味されています。
東京煮干屋本舗@中野・20130521・チャーシュー
 具材は、チャーシュー、ホウレン草、海苔・ネギに揚げ煮干がパラリ、そして追加の味玉。肩ロース・チャーシューは、まんべんなく味がしみた一品ですが、ご覧のような隠し包丁で、スープを持ち上げ絡ませようという工夫が面白い。海苔・味玉は平凡で、面白いのは揚げ煮干ですが……こういうのも「煮干狂」ラヲタには不評かもしれませんが、一般受けする演出です。

東京煮干屋本舗@中野・20130521・麺箱 ラーメンとしてではなく、「ご当地」的な商品として、非常によく構想を練り込んである一品。「ご当地」を代表する商品に対する人気をベースにして、この店なりに独自の特徴も加えながら、すべてを親しみやすく仕上げて、人気の「幅」をさらに広げ商売につなげようという「設計思想」。事実、お客さんにはラヲタ的な影は少なく、女性やご高齢の方まで様々……ドラッカー曰く、「事業とは『顧客の創造』である」。どうせ「創造」するのなら、既存の人気に「上乗せ」していくに限りますな……ラヲタにはイマイチ不評かもしれませんが、一般の方に新たな魅力を提供できるよう、慎重に設計された一杯でした。

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プロフィール

miles

Author:miles
 千葉南西部や都心のラーメンを食べ歩きながら、某サイトへ5年にわたりアレコレ書いてきましたが、都心に引越し連載も1,000回を越えたあたりでこちらへシフト。他の話題についても「So What?」な気分で、アレコレ書いていこうと思います。
 とはいえ、ほとんどラーメンの話題になってしまうのか……

年齢:オッサン
仕事:新橋系サラリーマン
オッサンゆえの自己ルール:
 ・6人以上の店外行列はパス
 ・週4杯、日1杯以内
 ・連食・副食・大中盛NG
 ・移動は電車&徒歩
 ・移動時間30分以内
 ・飲み後のシメNG

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