2016/09/08
サッポロラーメン 天竜@浅草橋 「味噌ラーメン」
午後から確実に雨との予報の土曜昼。今にも降りそうな曇天の下、蔵前で2軒フラれて浅草橋まで撤収、なんかポツポツ空から落ちているような気もして、駅から離れたくない気分ですな……ここはひとつ、西口真ん前の「天竜」さんへ。
言わずと知れた浅草橋の老舗、私も社会人なりたての頃に、お邪魔したことがあります……なんでも創業から50年は立っているとか。常連さんが多いお店で、この日も常連さんばかりで地元の話に花が咲いており、私が入店するとご主人、一瞬不思議そうな面持ち。あまりアレコレ写真を撮られるのを好まない店であることは、ラヲタのたしなみとして知っておりますので、メニュー写真は省略しますが、「味噌」「醤油」「塩バター」「タンメン」などが主力ラインナップ。「醤油」の評判が良いお店ですが、昔来たときは確か「味噌」(700円)をお願いした記憶があり、ちょっと懐かしくもあって、それで。
大型の丼に、ナミナミと注がれたスープ、コンモリと盛り上がるモヤシ・挽肉と、丼景色は1970年代の札幌味噌ラーメン・ブームそのまんま。まずは、スープを一口……なんか、30年前の記憶がよみがえってくるような、そんな懐かしさ。挽肉のコクと旨味、そして野菜の透き通るような甘みが沁み渡ったベース・スープ。味噌は当然赤味噌主体で、濃さをむしろ抑えてベースとのハーモニーを重視。何ともふくよかで、ジンワリ&シミジミと舌に広がる、伝統の味。
麺は、やや細めの中太弱縮れ。おそらく他の札幌系と同様に玉子を使用しており、かなり黄色っぽいルックスも札幌的。少し柔らかめにゆで上げてありますが、そのおかげで麺のホッコリとした甘みがさらに豊かに感じられ、ススリ心地やノド越しも文句なし。それでいて、咀嚼時に感じるネバリ強さもなかなかのもので……これぞ年季のなせるワザ。リッチな味わいの麺とスープ、両者がお互いを高め合うシナジー感、文句なしの一級品です。
具材は、モヤシと挽肉、それに切り落としのチャーシューが、意外に多めに入っています。敢えて炒めを入れない具材類、でもその方がラードの「雑音」を遮断し、挽肉のコクをピュアに引き出せるという、よく考えられたアプローチ。ラフに見えて、実は緻密に計算された「味空間」ですな。
最後は、かつて両国老舗の札幌味噌店で女将さんに教わった方法論で、辣油による味変。卓上には、かなり大型の容器で自家製の辣油が用意されており、コイツをひと匙タップリまわしかけます。かなり胡麻油的な風味の強い辣油ですが、香ばしさが加わる上に味がキュンと引き締まって……あぁぁ、コイツは極楽。
札幌味噌がご当地で始まったのが1950年代末、それが物産展などで東京に紹介されるようになったのが60年代中頃だそうで、68年「サッポロ一番 味噌ラーメン」の発売とともに、全国的に大ブームに……この店の「サッポロ」という表記や、赤テント(昔は札幌味噌の店に多かった)に、当時の「勢い」がまだ感じられますな。私も、こうした店にアチコチお世話になりましたが……最後にお世話になったのが両国「やっこ」。そこも、ご主人・女将さんご高齢のため数年前に閉店。あそこに最後に飛び込んだのも、雨が降りそうな土曜日でしたが……なるべく早く、「醤油」を食べにまたきます。
店舗情報は、こちら。
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