2022/12/11
手打ち 蓮@森下 「醤油ら~麺」

かなりユニークな自家製麺で勝負する店が、森下と両国の中間あたりにできたとか。食べ歩きでこの辺に来るのは初めてだなぁ……路地突き当りにチラッと見えるのは首都高7号線小松川線、お店はその少し手前、この路地の右手にあります。

11月オープンのこのお店、ドアを開けると正面にいきなり製麺室、しかも中にあるのは製麺機ではなく、打ち粉が広がる麺打ち台に、麺棒と麺切包丁のみという……これだけで、ひしひしと「本気度」が伝わってきますな。視線を左に移すと、壁に掲げられた黒板(写真は下掲載)に、使用する米と小麦種を堂々と大書、ご主人の気合に圧倒されそうです。

メニューは基本的に「醤油」「塩」の「ら~麺」2本立て、ワンタンが入ると思われるメニューはまだ「×」印、自家製麺店で「麺大盛」が200円なのが目を引きますが……大盛りに対応したスープ増量も入るのか、あるいは目を見張るほどの大盛りなのか。もちろんただ単に、国産小麦使用とはいえウクライナの一件につられて小麦が高騰しているせいかもしれません。まずは、基本の「醤油ら~麺」(880円)を、ポチッとな。なお、オープン月サービスで味玉付き。
スープの深い醤油色と海苔をのぞけば、ナルトといいメンマといい青菜といい、なんとなく佐野ラーメンっぽい丼景色。まずは、スープをひと口……いや、これは佐野や喜多方などではなく、完全オリジナルの「椎茸」な世界。まずガツンとくるのは椎茸出汁で、独特な風味とグアニル酸的な旨味が、ドッパドッパと溢れ出ます。ベーススープは鶏のようですが、両者の旨味に魚介系の旨味を加えて、トリプル・シナジーさせており……特に魚介系は、旨味のシナジー重視で風味を抑えていますが、昆布に加えてネット情報ではコハク酸系の旨味も加えているようで、実に分厚い味空間。いやぁ、コイツは美味い。
麺は、壁黒板の能書き(写真は下掲)によれば、この日は「北海道産・和華」と「岩手県産・もち姫」を使った自家製麺。かなりの太さで扁平した断面、手揉み的で強烈な縮れが入っており、加水率高めで佐野麺のようなピロピロとした食感。この太麺に、どうやってスープを絡ませようかと思案しつつ、まずはひと口イッてみますと……あれ? シッカリ味がしみ込んでるし。すべての旨味成分が、醤油ダレと一緒に麺にしみ込み、冒頭から噛めば噛むほど、小麦の甘さと高め合ってカタルシス。これ、どうやったのかな……「神秘」としかいいようがない、未経験な美味さ。
具材は、チャーシュー、メンマ、海苔に小松菜、薬味のネギとナルトが一つ。チャーシューは、部位の違いなのかもしれませんが、ひとつは煮豚的でモモ肉的な印象で、もうひとつは低温調理しておいて焼きで仕上げたような、肩ロース的な印象の一品。同じ肩ロースでも、部位と炙りの入れ方で変化を出しているだけかもしれませんが、別モノに感じられて結構新鮮。小松菜も風味がよく、メンマや白ネギはフレッシュ感を強調した仕上げで、メンマの深さと好対照。

強烈な自家製麺で勝負するお店で発生する、序盤~前半のスープとのミスマッチ。それを、自家製麺のクォリティをさらに高めながら、どうやってスープとのミスマッチを序盤から解消できたのか、ミステリアスなこの一杯。加えて、この椎茸で押し通す味空間、店名も「手打ち 蓮」ではなく、「手打ち椎茸そば 蓮」で打ち出してもよいような……いやぁ、コイツは美味い。みなさんも、機会がありましたら是非。
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