2011/07/03
饗 くろ㐂@秋葉原 「味玉塩そば」
泣き出しそうな曇り空の土曜日(25日)。折り畳み傘をデイパックに入れてのウォーキング、腹ごしらえは秋葉原「くろ㐂」で。秋葉原駅からテクテク歩き、三井記念病院を通り過ぎて清洲橋通りにつきあたる辺り。お店は白木をあしらったような小料理屋の様な外観、「饗」と記された白い暖簾をくぐります。

券売機は入口左手、メニューは「塩」と「味噌」の2系統で、「牛すじ」なんて面白そうなトッピングもありますが、初訪ゆえ「味玉塩そば」(850円)を、ポチッとな。



厨房のご主人に食券を渡すと、「塩」は細麺と平打ち麺から選べるそうで、おススメを聞きましたが「どちらもおススメ」とのこと。今日のところは「細麺」で、丼は約5分で到着。

では、スープを一口……いやぁぁ、これはなんとも美味い!! 能書きによれば、丸鶏スープをベースに羅臼昆布、焼きアゴ、サンマ、カツオの出汁を合わせているようですが、この魚介出汁はすでに「芸術品」の域。厳密な温度調整で風味がキチンとコントロールされた魚介出汁、アゴのほの「甘さ」、秋刀魚のソリッド感と淡い「苦み」、そして羅臼のスマートな「旨み」、食材からどう「味空間」を引き締めるか熟知した組み合わせ方で、味の一体感も驚くほど。カツオの奢り方も贅沢で、極旨の露を嚥下する度、「フワァッ」と鼻腔を満たす香りの美しさ。もう、ウットリするしかありません。
麺は、素麺のような極細ストレート。敢えてかん水を少なめにし、小麦の上品な香りを前面に押し出した一品で、ワシワシと頬張って、しなやかな麺がサワサワと口腔をくすぐるのを楽しみながら、ユッタリと噛みしめますと……かん水によるラーメン的なニュアンスが弱いため、あるいは好みが分かれそうですが、確かに一つの「カタルシス」が、ここにある。
具材は、チャーシュー、メンマとちぢみ小松菜、そして揚げごぼう・ネギ・海苔に、追加の味玉。低温調理されたチャーシューは、上質な「金華ハム」のように味わい深く、小松菜も実に風味豊かで驚くほど。味玉も、他店にないほどジックリと味をしみこませた手間のかかった一品で、最近食べた中では間違いなくトップクラス。他の具材にも、全くスキがありません。
「ラーメン」は、すでに日本固有の料理といってもよいと思いますが、それでもどこか「中華」の「シキタリ」「シガラミ」に囚われている一品がほとんど。あらゆる「シガラミ」を排除し、純粋な日本料理の一つの形として「ラーメン」を追い求めるとき、辿り着く「カタルシス」にいくつかあるとすれば……この一杯は、まさにその一つを体現していますな。スープ・出汁、麺、具材、作り手の手間ひまと「誠意」がシミジミと伝わってくるこの一品。銀座の日本料理店で数千円で出されたとしても、私なら払いますな。
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