2011/11/19
麺処 hachi@新宿 「醤油らーめん」

小滝橋通りから東の一画へ新宿ガード下から歩くと、多数のラーメン屋がひしめき合っていますが、それも「麺屋 翔」のあたりで途切れます。「hachi」はその少し手前あたり。

メニューは「らーめん」と「カレー」の2本柱で、昼に提供されるラーメンは基本的に「醤油らーめん」のみのようです(トッピング「赤(辛味)」「黒(煮干ニンニク油)」でアレンジ可能)。とりあえず、店外の券売機で「醤油らーめん」(650円)と「味玉」(100円)を、ポチッとな。調理は非常に手際よく、丼は約3分で到着。
では、スープを一口……シッカリとした鶏ガラ・ベース、しかし魚介はもっとシッカリしており、ほとんど「パンチ」といってよいレベル。煮干しや節系で「濃密」な風味・旨みを力強く押し出して、強めの醤油ダレともあいまって、その迫力には「プレッシャー」すら感じるほど。

麺は、カネジン食品製の中太縮れ。ツルツルの麺肌でスープを撥ねるせいか、縮れの割にはスープ持ち上げがイマイチに感じられますが、その分持ち前の甘みで舌をフンワリと包み、「プレッシャー」から解放してくれます。
この麺とスープ、最初は不思議な組み合わせだと思っていましたが……スープでズカッと一歩踏み込んで、こちらが身構えたところを、麺でフワッと抱きしめる。そして、麺の抱擁がもたらす「解放感」が、スープの次の踏み込みを、よりソフトに感じさせ、スープと麺が舌にもたらす「揺動」が減衰していく先に……陽炎のように揺れ動きながらも、「hachi」独自の味の世界が垣間見れます。
具材は、チャーシュー、メンマ、味玉に青菜、そして細切りのタマネギがスープに浮かびます。メンマ、味玉ともクォリティは一流ですが、このバラ肉チャーシューは脂肪分が固形化しており、食べ手によって評価が分かれるかもしれません。

食べながら連想したのは、「柔道」や「合気道」。ドッシリ構える食べ手の舌に、自分の世界観で真正面から挑んでも、そこは好みが分かれるところ。しかし、スープでコツンと舌を押し、その反動へ麺をぶつけることで「技」をかけやすくし、それを繰り返すうちに、「技」を繰り出す側と受け止める側の一体感が生まれる。「1 + 1」で「2」を表現するのではなく、赤のパネルと青のパネルを交互に突きつけ、微妙に揺れ動く「紫」を表現しているような……そんな味の表現。実に面白い一杯でした。
店舗情報は、こちら。
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