2011/12/13
麺壱 吉兆@大井町 「中華そば」
今年は東京近郊の白河ラーメン戦線にもいろいろ動きが。昨年暮れに「二代目 にゃがにゃが亭」が三河島にオープンし、「火風鼎」も表参道に進出したあと、白山店ごと全面撤退したり、9月にはあの名店「とら食堂」の分店が松戸にできたり……そして12月に入って、戸越「麺壱 吉兆」が大井町に移転したと聞きました。「麺壱 吉兆」といえば、「とら食堂」暖簾分けの横浜「白河中華そば」で修業されたご主人のお店、早速訪店。
東京モーターショーの関係で、人出の多い「りんかい線」のホームからイトーヨーカドー前に出て、左手へ。ゼームス坂下交差点をすぎ、「麺場 風天」前を通り過ぎて2本目の路地を入りますが……こんなところに店があるとは思えない下町風景。しかし実は、左端にちょっと見えているガラス戸が、すでにお店だったりします。

オペレーション的に大別すると、注文ごとに調理するお店と、ある程度注文をまとめてから調理を始めるお店がありますが、この店は後者。加えて、「支那そば」は魚介出汁をじっくり手鍋で温めた後に、丼で基本スープと合わせる製法ですので、当然「中華そば」よりは時間がかかり、両方のオーダーをまとめて処理すると、当然「中華そば」を待たせる結果に。そんなこんなで、約20分待ちでようやく丼到着。
では、スープを一口……おぉ、結構コクがありますなぁ。ベースは豚骨主体の清湯ですが、豚骨は臭みが出るギリギリの線まで炊き出しており、ちょっとワイルド感すら漂います。コイツに対して、白河流に醤油ダレを濃くきかせてキリッと味のエッジを立てており、やや「無造作」ながら「豪放」感があるスープ。しかし、コイツが白河「とら食堂」系の魅力なんでしょうな……食べ進み温度が下がるにつれて、グングンとコクが深くなっていきます。
麺は白河系独特の、平打ち縮れ麺。多加水麺を手打ちするからこその弾力とコシ、口あたりのいわゆる「ピロピロ」感も、喜多方麺よりもやや強い。そして白眉は、多加水なのに実に味わい豊かに感じる点で、濃い醤油で引き立つ効果も大きいのでしょう。あまりに美味く、気づけば完食、思わず写真を撮り損ねました。
具材は、チャーシュー、メンマ、青菜にナルト、ネギ・海苔に追加の味玉。白眉はこのチャーシューで、食紅を塗り炭火で焼いてから醤油で煮て、スモーキーに仕上げるのが白河流ですが、まさにその「伝統」通り手造りされた一品。このスモーキー感が、豚骨の「野趣」に実によく合う。

私が食べ始めてからも、先客の注文が入っているのに後客待ちの構え、寸胴の中で豚骨をガンガンとハンマーで割っておられますが……午後休憩の入る営業ですから、「時間外」でやってくれないかしら。シンプルな見かけの割りにワイルドな味、しかし、ワイルドなオペレーションの割りに真摯な味。「粗にして野だが卑ではない」、その志の高さから、どうにもニクめないお店ですが……お時間に余裕のあるときに訪れることを、おススメします。
店舗情報は、こちら。
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