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麺処 hachi@新宿 「極煮干ラーメン」

hachi@西新宿・新宿
 新宿方面の用事が意外と早く片付いて、「これならどこか『数量限定』なんか狙えるかも」などと思いを巡らしますと……メニュー改編後の「hachi」が、宿題になっていることに気付きました。
hachi@西新宿・店舗
hachi@西新宿・券売機
 「hachi」にはオープン直後に訪れていますが、当時のメニューは「醤油」と「塩」の2本立て。ほどなくメニューが改編となり、なかでも昼・夜10食限定の「極煮干ラーメン」(750円)が気になっておりました。「味玉」(100円)と一緒に、店外の券売機でポチッとな。hachi@西新宿・サラダ

 丼を待つ間、卓上のサラダをつまめる洒落たサービス、今日は「カブの葉と水菜」でしたが……なんか野菜の味がグッと濃くて、活き活きとしたお味、「生産者応援」をコンセプトにするこの店ならではの「見せ場」が、すでに始まっていました。丼は、約5分で到着。
hachi@西新宿・極煮干
hachi@西新宿・スープ
 では、スープを一口……この店自慢の鶏・野菜スープに、豆乳、煮干出汁を絡めたと思われるトリプル・スープ、しかも調味料的な味付けはほとんど感じられず、素材の味わいだけで勝負するようなスタイルです。煮干出汁のハードな風味の「気配」がしますが、クリーミィな豆乳でエグみが取り除かれ、イノシン酸系の旨みが大豆のグルタミン酸系の旨みとソフトにシナジーして、ホノボノとした味わい。しかも、煮干の苦みと豆乳の微妙な苦みがさりげなく絡んで、繊細なアクセントを加えます。
hachi@西新宿・麺上げ
 麺は、カネジン食品製の中太縮れ。ここから先は、麺がどう、具材がどうという世界ではなく……スープにタップリ含まれた野菜のエキスに、麺由来の小麦の風味、具材のホウレン草や白ネギ、青ネギ、ミョウガ等の野菜の味わいが次々と重なっていって……いやぁ、春風の中で、のどかな田園風景を眺めるような、ゆったりとした気分にさせてくれます。しかも、調味料によるフィルターが視界にかからないため、実にクリアで、実に生き生きとした風景……あぁ、極楽。
hachi@西新宿・具材
 しかも、野菜の美味しさだけではありません。肉厚のチャーシューは肉汁タップリ、しかも雑味のない健康的で活き活きとした味わい。味玉も低コレステロールの卵を使い、醤油によるキリットした味付けがまたビビッドで……野菜に満ちた「のどか」な風景に「牧歌」が響き渡るような、実に抒情的なクライマックス。

hachi@西新宿・路上看板
 「極煮干」というハードなネーミングとは裏腹な、何ともナチュラルで清々しい味わいの一品。なにがなし、フェデリコ・フェリーニの名画に出会ったような「感動」があります……ハードな宿命を背負った名もなき人の生き様を、絵画のように美しく、どこまでも抒情的に描いて見せた名監督。ラーメンも映画も、押しとメリハリばかりがやたら強く、ガチャガチャうるさい作品が幅をきかせるこの時代だからこそ、「寡黙な美しさ」が光るのかも知れません。

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づけ麺 秀@中野 「づけ麺 並」

づけ麺 秀@中野・中野
 久々に、新宿方面の用事がテキパキ片付いた月曜日、中野に古風なつけ麺を出す店ができたと聞いておりましたので、早速。
づけ麺 秀@中野・店舗
づけ麺 秀@中野・券売機
 場所は以前「きら星 満天」があったところ、パワフルな濃厚豚骨がウリのお店で、結構な実力店でしたが……ちょっと残念。外装ごとほぼ居抜きで入った「づけ麺 秀」は、洗足のお店の支店になるとか。メニューは醤油系と味噌系で、それぞれに「辛」バージョンもあります。とりあえず、入口右手の券売機で筆頭メニュー「づけ麺 並(250g)」を、ポチッとな。丼は約8分で到着。
づけ麺 秀@中野・づけ麺
づけ麺 秀@中野・つけ汁
 では、つけ汁を一口……おぉ、このスタイルにしては食べやすい。濃い醤油味の鶏ガラスープはサラサラで、酸味・辛味で調整してあり、噂通りひと昔前によく出会ったタイプ。しかし、醤油は濃さの割にはカドも立たず非常にまろやか、甘さを控え酸味・辛味も突出させぬよう慎重に調整してあり、全ての味がスムーズに連続している感じで、実にマイルドな味わいです。
づけ麺 秀@中野・麺上げ 麺は自家製で、太めの中太ストレート。敢えて固めにゆで上げ「小麦ギッシリ」感を楽しませ、さらに多加水でパンと張った麺肌の、口あたり・ノド越しを楽しませようという方向性。国産小麦特有のスッキリとした甘さは、当然ながら醤油や海苔に実によく合う。ただし細かいことを言えば、甘みが大人しい「国産小麦」で、無理に「小麦ギッシリ」感を演出するため、いきおいゆで加減は「固すぎ」に感じるギリギリの領域になっており、やや「二兎を追ってる」感が漂います。
づけ麺 秀@中野・卓上 具材は、細切りチャーシューにメンマ、ネギ。チャーシューは量も少なくご不満の向きもあるかと思いますが、麺・つけ汁が作り出す「和」の世界観から見れば、むしろ思い切って省略し、別皿提供のトッピングにしてもよいのかも。

 むしろ面白いのは卓上の調味料で、「づけ麺だれ」、魚粉、柚子胡椒などがズラリ。私は柚子胡椒でキレを加えて楽しみましたが、「づけ麺だれ」でマイルドなつけ汁にカドを加えてみるもよし、魚粉で旨みを加えてみるもよし。

づけ麺 秀@中野・口上 「もり」「ざる」といった和蕎麦をインスパイヤしたつけ麺は、かつてはアチコチで見られましたが、いまや「絶滅危惧種」。そうなった理由の一つは、魚介出汁の旨味へのコダワリと、それを活かすための甘味へのこだわり過ぎだと思っています。旨味と甘味は相性がよく、日本人の「大好物」。しかし、そこでウケを狙い過ぎると……カエシの「砂糖」然とした露骨な甘味が、魚介系・動物系本来の旨味をブチ壊し、自己崩壊していったのがこれまでの歴史。そして、この一杯のキモはまさにその甘味を抑えた点にあり、それゆえ鶏ガラ醤油のスマートな味わいも、麺のクリアな甘みも、この系統初期の「輝き」を取り戻しています。支持客におもねり自己崩壊する「イノベーションのジレンマ」を、敢えて原点回帰で克服しようとする試み。結構チャレンジングな作品でした。

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プロフィール

miles

Author:miles
 千葉南西部や都心のラーメンを食べ歩きながら、某サイトへ5年にわたりアレコレ書いてきましたが、都心に引越し連載も1,000回を越えたあたりでこちらへシフト。他の話題についても「So What?」な気分で、アレコレ書いていこうと思います。
 とはいえ、ほとんどラーメンの話題になってしまうのか……

年齢:マジ・オッサン
仕事:銀座・新橋から離れ、今は世田谷系・半フリーランス
オッサンゆえの自己ルール:
 ・6人以上の店外行列はパス
 ・週3杯以内、日1杯以内
 ・連食・副食・大中盛NG
 ・移動は電車&徒歩
 ・移動時間30分以内
 ・飲み後のシメNG

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