2012/04/21
水明亭@信濃町 「ちゃんぽん」

爽やかな春風が吹く月曜日。四谷方面の用事を済ませ、ちょいと神宮外苑を散策。

首都高入口を通り過ぎたあたりで、突如として看板が出現。右手の茂みの中に隠れているのが、本日お目当ての「水明亭」。

何でも東京五輪の頃には、すでに営業していたとか。首都高を渡る歩道橋で慶応大学病院からのアクセスもよく、先生方の利用も結構あるそうです。この日は結構運送業系のお客さんが多く、やはり首都高の出口に近いせいなんでしょうな。メニューは「ちゃんぽん」(870円)の他は定食がメイン、入口近くのレジで先払いして番号札をもらい着席します。

店内は、まんま昭和期の「大衆食堂」。私も昭和30~40年代に少年期を過ごした「三丁目の夕日」世代ですが、ホントにタイムスリップしたような気分です。神宮球場も近く野球選手がよく利用するせいか、店内にはサインが一杯、眺めているうちに丼到着。


スープは意外にも清湯で、手っ取り早く言えば街の中華屋の「タンメン」スープに近い。「ちゃんぽん」特有の魚介系の旨味は乏しく、動物系のコクもかなり弱めですが、ホンノリとした野菜の旨味を、ジンワリとした塩加減で仕上げたような……言葉は悪いですが、このどこかチープな「昭和」感が、店の雰囲気にピッタリ合って、なかなか味わい深いものがありますな。豚骨ベースの本格スープが出てきたら、むしろ違和感があったかも。

麺はソフトなチャンポン麺。ザラツキのある麺肌に、サクッとした軽い歯切れ、フンワリとした噛み応えという、ステレオタイプ的な一品。しかし、下手に甘みを主張しないところが、シレッとしたスープにピッタリ合って、「昭和」感が倍増します。

具材は、豚肉、さつま揚げ・ちくわ・カマボコといった練りモノ系に、モヤシ・キャベツなど野菜がタップリ。魚介と呼べるのは、まばらに入るゲソ足のみで、まぁこの構成ならスープの旨味もあんなもの。

値段は「平成」価格ですので、クォリティにも「平成」レベルを求めたいところですが……ま、どちらかといえば「味」よりも「ノスタルジー」を味わう一杯。実際、若い運ちゃん達には「メンチカツ定食」あたりがよく出ておりました。しかし、かつて高度成長期、こんな店でこんな「ちゃんぽん」をカッ込みながら、団塊の世代の方々はガンバっておられたのですな……あの頃のあの人たち全員に、「二郎」あたりをブチ込んでいたら、日本は未だに世界第二位の経済大国だったかも。
店舗情報は、こちら。
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