2012/09/22

昔担当した案件でトラブル発生、思わぬ「濡れ衣」を着せられそうになり、辛うじてかわした木曜日。つけ麺でも食べて気を落ち着けるべく、茅場町の新店「たか松」へ。

昨年京都にオープン「麺匠 たか松」が、早くも東京に進出。本店のある四条烏丸近辺は、「
和醸良麺 すがり」などハイレベルな店が点在するエリア、そこで頑張ってきたというのですから、ちょっと期待できるかも。メニューは「鶏魚介つけ麺」「鶏塩らーめん」の2本立てで大盛り無料、とりあえず「鶏魚介つけ麺(並盛)200g」(850円)を、ポチッとな。

店内数カ所に小麦粉袋が展示してあり、自家製麺へのコダワリを誇示しておられます。挨拶は大声でハキハキしている反面、人当たりはやや冷たいという「京都流」の接客も微笑ましい(私は京都在住経験アリ)。丼は、約6分で到着。

では、つけ汁を一口……これは、相当なクセ球ですな。動物系は鶏主体に多少豚を合わせているのかもしれませんが、敢えて油分による「マイルド感」を拒否しているような、「モサッ」とした感触。これに絡む魚介系も、敢えて荒削りなタッチを前面に出しており、両者が合わさった味わいは、「ザラッ」というか「ゴツッ」というか……ワザと「野暮」ったさを装っているような、そんな感じ。

麺も、相当なクセ球です。全粒粉使用の自家製麺で、ちょっと蕎麦のような「ボソッ」とした感触のある中細ストレート。小麦粉そのものの風味を「モロ」に叩きつけるような、粉っぽさすら漂う不思議な味わい。こんなクセ球と、あんなクセ球が合うのかな。
論より証拠、麺をつけ汁にくぐらせ、ズバァ~~ッとイキますと……う~~ん、予想通り合わないけれど、どこかで微妙に合わせてあるような、「確信犯」的な雰囲気も。敢えて「マイルド」感を否定したつけ汁と、敢えて甘味の「スムーズ」な伸びを否定した麺、そんな両者が合わされば、当然「ザラザラ、ボソボソ」とした味になる訳ですが……でもどことなく、「田舎料理」のような素朴さがあって、なぜか憎めないのが不思議なところ。

具材は、つけ汁に沈むチャーシューの細切れと、麺皿のメンマ、タマネギに、水菜・スダチといったラインナップ。タマネギによる食感の変化や、スダチによる味わいの変化を楽しめと能書きにはありますが、麺・つけ汁が目指す「明るい農村」的な世界観には、そういったハイブローな演出は似合わない。ただし、卓上のアオサを加えてみると、「明るい漁村」的な雰囲気も加わって、コレはコレでアリなのかも。

昔、国文学専攻の友人から、こんな話を聞いたことが。平安の昔、京の貴人が「雅(みやび=高貴・エスプリ)」を体得していることを示すため、対極概念の「鄙(ひなび=田舎臭さ)」の定義が必要で、その仮想的な「鄙」を正しく嗜むことができるのが、一つのステータスであったとか。それが発展して、武家の茶道に……古都のお店が「花の都」東京で魅せる、「ボソ・モサ・ザラッ」とした「鄙」な世界。商売的な仮説として面白くはありますが……しかし東京という街は、地方出身者の吹きだまり。リアルな「田舎臭さ」を知っている私のような人間には、京都の「鄙」はあまりにも高尚(=鼻につき)過ぎて、チョイとついていけませんでした。
店舗情報は、
こちら。
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