2015/12/31
らぁ麺 やまぐち 辣式@東陽町 「塩らぁ麺」(リニューアル)

2015年も残りわずか、「今年食べ残したお店はないかな……」などと振り返ってみますが、自己ルールで行動範囲を限定し、しかも行列店は避けておりますので、もちろん「食べ残したお店」ばかり。しかし、その中でもやはり気になるのが東陽町の「やまぐち」。

西早稲田の超有名&大行列店「やまぐち」の2店舗目として9月にオープン、当時ダメモトでのぞいてみましたが、路地をのぞいただけで大行列が見えました。今日はどうかと見てみると……およ、店の位置がわからぬほどの、のどかな光景。さらに店舗をのぞくと、行列どころか店内6割程度の客入り。キツネにつままれたような気分で入店しました。

メニューは、「麻婆まぜそば」と「塩らぁ麺」の2系統。ただ、「塩らぁ麺」は11月後半からスープを見直し、麺も全面的に変えたとか、オープン時すでに絶品と評されていた一品ですので、それが進化したとなると見逃せません。当然、筆頭ボタンの「味玉入り塩らぁ麺」(880円)を、ポチッとな。
黄金色のスープが輝く、なんとも美しい丼景色。まずは、スープを一口……いやぁ、実に深みのある味わい。国産親鶏のみを使用した丸鶏スープ、その優しい味わいを、ムロアジ・宗田節でカッチリと整え、本鰹の香りを移した比内地鶏の鶏油で味の厚みをプラス。そして、最大のポイントは「関アジ魚醤」で、独特のまろみを感じさせながら、非常に素直でスッキリ感のある旨味が印象的。醤油も、森田醤油の薄口を新たに使っているそうです。全体としては、なんというか……静謐な味空間の深みから、旨味がこんこんと湧き出て、全体に融け込んでいくような……そんな静けさに満ちた豊かな味わい。
そして注目の麺ですが、これが絶品。京都「麺屋 棣鄂」との共同開発、オープン時は加水率50%の超多加水縮れだったようですが、最高級内麦「はるゆたか」を独自配合した中細ストレートに変更。ポリポリと実に潔い歯切れと、口の中で跳ねるようなビビッドなコシ。そして内麦特有の透明感のある甘みが、内麦とは思えない豊かなダイナミックレンジを伴って、実に力強く訴えかけてきます。「塩らぁ麺」専用開発とのことですが、まさにオンリー・ワンのクォリティ、目を瞠るほどの美味さです。

具材は、チャーシュー、メンマ、カイワレ・ネギに、追加の味玉。チャーシューは、敢えて脂身を削ったバラ肉を使用、スープを汚さず、逆にスープを吸い込んで、肉の旨味と一体化させるような仕上がりで、「塩」用としてベストなチューン。

味玉もご覧のような仕上がりで、スープを汚さぬギリギリの粘度で黄身を半熟に仕上げ、味付けも黄身の甘味を最大限引き出すような、テクニカルなアプローチ。薬味類も、量の少なさゆえ逆に効果的という……全くどこをとっても言うことなしですが、唯一、穂先メンマの風味が、若干アレな感じになっておりました。

西早稲田の本店では、何度も行列に阻まれ遂に実食できず、東陽町店も2度目にして、ようやくの実食となりましたが……間違いなく、都心における「最高峰」の、一角を担う一杯。このレベルになると、セオリとか技術とか、まして食材のクォリティといった段階は遥かに超えて、作り手の「美的感性」の領域となって、逆に食べ手の「感性」も問われてくるわけですが……まるで、美術館で芸術品を愛でるような、心静かなひとときでした。
店舗情報は、こちら。
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