2017/05/30
麺や すする 水道橋店@水道橋 「すするつけめん」

まだ5月中旬だというのに、真夏のような暑さの土曜日。この日訪店予定はアツアツの一杯を出すお店でしたが……あまりの暑さに、移動途中に予定変更。水道橋の新店「すする」でつけ麺をいただくことに。場所は、かつて「肉屋」などいくつかお店が入れ替わったガード下。

5月オープンのこのお店、本店は学芸大学にあり、その後「肉辛つけ麺」専門の2号店を出して、この水道橋店で3店舗目。メニューは「すするつけめん」と「らーめん」の2系統、つけ麺は中盛まで同価格ですが、とりあえず並盛の「濃厚魚介 すするつけめん」(880円)をポチッとな。

店内はL字カウンターとテーブル席で客席半々程度、L字カウンターの角席に座りましたが……卓上アイテムの配置が悪く、箸以外には手が届きません。よくあることですが、よくないこと。
まずは、つけ汁を一口……なるほど、「濃厚魚介」の冠に偽りなし、ですな。節系主体の魚介系、まるで節粉から直接煮出したような濃厚さで、いきおい渋味や酸味も出てしまっておりますが、それをモノともしない押し出しの強さ。動物系もシッカリしており、多めの脂分で分厚いコクを演出しながら、節系のエグミを上手く丸めてマイルドな味わいに仕上げています。

麺は三河屋製麺との共同開発とか、多加水で少し太めの中太ストレートで国産小麦100%。そのまま一口いただきますと……食感は三河屋さんらしくなく、モチッというよりズシッと重い歯応えで、噛めば寡黙な力強さで甘味がグイグイ広がる感じ。しかし口あたり、ノド越しには、三河屋さん特有のしなやかでスムーズなタッチが光ります。
コイツをつけ汁につけ、ズバァ~~ッとイキますと……麺の低重心な甘さが、濃密な節系をかき分けグイグイ押し出すようなダイナミズム。つけ汁単体では気になった節系の渋味・酸味が、麺の甘みをギュギュッと引き締め、実に潔い食べ心地です。なお、麺量は並盛で200g前後(ネット情報では270gですが茹で後でしょう)、中高年には一応満足な量ですが、若い方には中盛がオススメ。
具材は、チャーシュー、メンマ、海苔にネギ、そして麺の上に柚子が少々。肩ロース・チャーシューは非常にシッカリとした味付けで、単体でもツマミになりそう。ややカタめの食感が咀嚼を誘い、噛めばより一層豊かに味が広がります。白眉はネギで、敢えて最初からつけ汁に入れず、麺皿から後入れしながら麺に絡ませると、フレッシュな辛みと薬味が濃密な味空間に斬りこんで、実に鮮烈な印象。

終盤、卓上の「指南書」(写真は下掲載)に従い「奇跡のらー油」をひとさじ投入、魚介主体のスープに辣油とはタブーに近い組み合わせですが、豊かな動物系の脂分が、すべてを上手くまとめてくれます。割スープはカウンター上のポットで提供、中身は薄めのカツオ出汁で、これで節系主体のスープを割るとは、イマイチ趣旨不明。

オープン当初はブレもあったようですが、すでに2週間近く経ち安定して本領が発揮されている印象。敢えて節系のエグミをだした上で動物系により丸めるのは、いわゆる「豚骨魚介」の王道ですが……ギリギリまでエグミをだしながら、ギリギリのところで脂で寸止めしたような、「限界点」に挑戦する意欲的な一杯。ワザワザ自分で難題を生み出し、それを艱難辛苦の末に克服するという、まるで「世界の果てまでイッテQ!」的なアプローチですが……ラーメンもひとつのエンターテイメント、それはそれでアリではないでしょうか。
店舗情報は、こちら。
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