2018/08/19
中華そば 龍の眼@末広町 「ワンタンそば」

接近する台風の影響か、昨日まで35度以上あった気温が一気に30度以下に。今宵は、涼しい夜風に誘われて、末広町の「龍の眼」へ。6月にオープンした当初は大行列だったそうですが、なんといってもあの場所は「北かま」以来、何度もラーメン店が入れ替わりやリニューアルを繰り返した鬼門の地、ほどなく客足も落ち着くだろうと見ていました。この日も3割ほどの客入り。

看板に「Produced by 創作麺工房 鳴龍」とありますが、大塚にあるミシュラン一つ星店のこと、代表作の担々麺はカップラーメンにもなりました。そこがプロデュースしているとなると、そりゃ行列もできるわけですな。メニューは「中華そば」とそのバリエーション。チャーシューが美味いとの事前情報でしたが、自家製麺のお店だし、ワンタンもイケるかと思って「ワンタンそば」(980円)で(後会計制)。
おぉ、スープ表面をワンタンが衣をなびかせて覆う、なかなか特徴的な丼景色。まずは、スープをひと口……旨味重視の穏やかな味わい。「阿波尾鶏のガラをベースに昆布、煮干し、魚介の節」で仕上げたというこのスープ、敢えて(?)各食材の風味を抑え、昆布の旨味を中心に各食材の旨味だけをシナジーさせるというアプローチ。充満する旨味の中で、醤油カエシがキラッ、キラッとキレますが、その表現もコク同様に抑え気味。コイツは麺・具材を下から盛り立てようというシフトですな。
麺は自家製の中細ストレートで、かなりヤワめのゆで加減。唇をなでるようなソフトな口あたりと、そよ風のような軽いノド越し。コシとか歯切れとかいう感覚とは対極にある、いわば「飲む」ようなイメージの麺で、これに千切れたワンタンが絡み、かすかなノド越しの変化が加わって……「飲む」ほどに、舌に国産小麦の純朴な甘みが、ジンワリとしたスープに包まれ優しく広がって……まるで淡い水彩画のような、のびやかな表現。
具材は、ワンタン5, 6個とメンマ、そして3種のネギ。そのワンタンですが、豚肉にタマネギを少量加えた餡は、生姜など刺激的な演出は一切なしで、下味で豚の旨味をソッと持ち上げるようなアプローチ。皮は薄手なのに非常に大きく柔らかく、麺と同様に口腔を自在にそよぐ感じ。鶏・魚介による穏やかなスープを背景に、豚肉のピュアな旨味がグッと引き立ち、コイツはなかなかのカタルシス。

世のラーメンが競う派手なコク・キレ、さらにコシ・歯切れ、ましてやパンチやインパクトなどとは「対極」を志向した、優しく穏やかな「飲む」ラーメン。当然、賛否あるでしょうが、多様性こそがラーメンの世界の「命」ですので、こういうアプローチも私は否定しません。それにしても……基本の「中華そば」(750円)はチャーシュー・メンマ入りで、これに「ワンタン(5ケ)」(250円)「チャーシュー」(250円)をどちらかトッピングすれば1,000円で、「ワンタンそば(チャーシューなし)」(980円)「チャーシューそば」(1,100円)とは釣り合いませんな……なんか不思議なプライシング。次回は「チャーシューそば」ではなく、「中華そば」+「チャーシュー」にしてみようと思う、オジさんなのでした。
店舗情報は、こちら。
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