2018/11/24
麺屋 大和田@渋谷 「大和田魚介ラーメン」

渋谷仕事で残業が長引き、ちょっと食べ歩きは無理そうな金曜夜。当てずっぽうで某店の冬限定を狙ってみましたが未開始で、路頭に迷う歩道橋の上……久々に「大和田」に行ってみますかな。あそこには、ちょっと宿題も残っていたし。

家系店の立ち上げに関わったご主人が、さらなるオリジナリティを求めて2016年1月オープン。メニュー主力は家系の流れをくむ「大和田ラーメン(豚骨醤油)」で、こちらは以前いただいています。気になっていたのは「大和田魚介ラーメン(豚骨魚介)」で、こちらもオープン以来不動のメニュー。ちなみに、以前は限定だった「塩らーめん(塩豚骨)」がレギュラー入りしており、コチラもちょっと気になりましたが……まずは宿題を優先、「大和田魚介ラーメン」(780円)をポチッとな。厨房はお若い店員さんがワンオペ状態、キビキビと見事に切り盛りされておりますが、調理が少し乱暴なのが気になるところ。
ほうれん草以外は、典型的な豚骨魚介系の丼景色。まずは、スープをひと口……記号化されていない「オーソドックス」感が、むしろ新鮮。ベースは、この店のウリである濃厚豚骨、シッカリと乳化を進めてマイルドなタッチながら、深いコク。これに節系主体の魚介系が強めに絡みますが、豚骨の「懐」が深いため、両者はごく自然に融合し、何とも言えぬまろやかな味わいに。醤油カエシは豚骨醤油系と共通なのか、ドライでキレが立ったスタイル。世の豚骨魚介系は、あのブームの中で甘く調味するのがお約束となり、それが記号化され固定化されてきましたが……そういう意味では、逆に新鮮。
麺は、やや太めの中太ストレートで、家系麺に似たスタイル。やや硬めにゆであげて、プクッとした口あたりと、ムスッと少し重めの歯切れ、咀嚼により力強く甘みが広がり、濃厚なスープに対しても全く負けていません。以前は、もう少し存在感の弱い麺だったように記憶していますが、力強さが増しバランスも改良されている模様。
具材は、チャーシュー、メンマ、ほうれん草に刻みタマネギと海苔。オープン以来、穂先メンマがトレードマーク的な存在で、相変わらず風味もよくて食感もバッチリ。豚骨醤油には入らない刻みタマネギが入るのも、節系のエグミを計算に入れた芸の細かさ。こうした基本設計の確かさも、オープン時とかわらぬ「大和田」の魅力。

あまりにも大ブームとなったため、「またおま系」とまでいわれ、業務用スープも広く出回った豚骨魚介。そのためラーメン店のみならず、大衆食堂や社食にまで入り込んでいった過程で、どこか甘ったるい、まるで判で押したような味に「記号化」が進んだものですが……そんな時代の流れを全く無視して、家系から独自発展してきた豚骨魚介。残念ながら豚骨魚介ブームは下火となってしまったため、手軽に両者の比較ができない時代となりましたが……「あの時代」を知る世代には、ちょっと試してもらいたい一杯。結構新鮮な驚きがあるかもしれません。
店舗情報は、こちら。
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