2018/11/01
麺屋武蔵 五輪洞@三田・田町 「黒角煮つけ麺」

カミさんが女子会に出かけてしまった秋の夜、こちらもノンビリ食べ歩き。あの「麺屋武蔵」が久々にダブルブランド店を三田にオープンさせたというので、そちらへ。

10月オープンのこのお店、「ダブルブランド店」というのは「麺屋武蔵 ○○○」と、店名にサブタイトルがついて、味・メニューのオリジナリティを前面に打ち出すお店のこと。逆に「シングルブランド店」というのは「麺屋武蔵 (地名)店」というネーミングで、基本的に統一されたメニューで展開しています。

店内には、カツオ節削り機がドドンと鎮座。メニューは、基本の「黒角煮らー麺」「黒角煮つけ麺」とそのバリエーション、ただこの日は20時前ですでに、「らー麺」の提供は終了していました。とりあえずは「黒角煮つけ麺」(900円)をポチッとな。麺量は「並・中・大」のほか、無料で1kgまではグラム指定で自由にオーダー可能で、つけ汁もスープ一杯までおかわり可能。「500g」「600g」と次々にオーダーが飛んでいますが……私は例によって「並」で。今日はデジカメを忘れ、スマホ撮影ですがご容赦。
つけ汁に大量に浮く鰹節と、麺皿にドドンとのる、角煮の存在感がハンパない丼景色。まずは、つけ汁をひと口……いろんな意味で、「武蔵」らしい味わい。店内の削り機で作った鰹節に、高温の油をかけ丼の中で香味油に仕上げるという凝った演出、丼に顔を近づけると、鰹の香りがフワッと鼻腔を満たします。味ももちろん、鰹の風味・旨味が突出してくるわけですが……甘塩っぱいカエシが鰹以上に主張して、派手で分かりやすい反面、味の深みがよくわからない、「武蔵」特有のいつものスタイル。
麺は、かなり太めの中太で、平打ち気味に偏平し、微妙にウェーブがかかったもの。柔らかめにゆで上げて、モチモチとした食感と優しい甘味を最大限に引き出してありますが、黒角煮の甘酸っぱいタレが麺皿で絡み、それがさらにつけ汁の派手な甘みと呼応して……「甘さの三段重ね」が、ややクドく感じられますな。
具材は、黒角煮、メンマ、海苔にネギ。もちろん主役の黒角煮は出色の出来、タレは高級中華店の黒酢酢豚のようなコク深い味わいで、適度な酸味によりクドさも最小。内部は肉も脂身もフルフルで、驚くほど肉汁があふれ出ます。クライマックスを角煮一点に絞ってくるこの演出、このあたりも「武蔵」特有のスタイルといえましょう。

いかにも「武蔵」らしい、メリハリの効いた演出により、記憶に深く刻みつけてくるような一杯。ただ、どこか「記号化」というか、「モジュール化」され過ぎてしまっているような気がしますな……初期のダブルブランド店とは異なり、ベーススープ、麺、角煮といった要素は基本モジュールとして統一され、ベーススープに加える演出と、角煮の仕上げ方などが別モジュールとしてアドインされて、店舗バリエーションを構成。なので、細かいモジュール間の「すり合わせ」、例えば甘さの重なり具合とか、それによる魚介系の風味の伝わり方とか、そういった未調整の部分が垣間見られて、料理としての「ラフ」さが感じられたり。
「モジュール化」というのは技術産業論で用いられる概念で、パソコンなどのように「モジュール化」に適した製品もあれば、楽器などのように「すり合わせ」が必要な製品も。ラーメンは基本的に「すり合わせ」型の製品ですが、経営が大型化するなかでは各パーツを「モジュール化」させることも必要……なかなか難しいモノです。
店舗情報は、こちら。
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