2019/07/30
西北拉麺 TOKYO@水天宮 「牛肉拌麺」

梅雨真っ只中で、この日も1時間後くらいには雨が降りそうな雲行き。駅近狙いが無難ですな……そういえば、水天宮「西北拉麺(シーベイラーメン)」が過去2回大行列のため近寄れず、そのままになっておりました。あそこなら水天宮駅4番出口からも近いし、オープンから半年以上経過していますので、もう行列もないでしょう。

2018年10月オープンのこのお店、甘粛省蘭州で生まれ最近東京でもお店が増加中の蘭州拉麺が、その昔福建省厦門に伝わり独自に発展したのが西北拉麺とか。厦門市内だけでも500店舗あり店ごとに味が違うようですが、その西北拉麺が日本初上陸。メニューは拌麺と拉麺に分かれており、拌麺が「牛肉拌麺」「海老拌麺」「鶏肉拌麺」「葱油拌麺」、拉麺が「牛骨拉麺」「牛肉トマト拉麺」で、その他に瀋陽「辣牛肉醤冷麺」なんかもあります。「牛骨拉麺」のポップ写真はなんとなく蘭州拉麺に似ていたので避け、筆頭ボタンの「牛肉拌麺 並盛」(780円)で。ちなみに、麺量1.5倍の「大盛」も同価格。

注文が入ると、一人が麺を手早く手延べ、もう一人がジャッジャッと牛ミンチを炒め初めて、サッとゆでた麺に炒めた牛ソースをかけてすぐ完成、実にスムーズな連係プレー。配膳時、麺同士がすぐくっつくのでよく混ぜるようアナウンスがありますが、牛ソースが予想以上にジューシーで、混ぜればすぐにほぐれますので、さほど焦る必要はありません。
麺は手延べですのですべて1本につながったような状態、よくよくマゼたあと箸で持ち上げ、カブりつくようにいただきますと……うわぁ、コイツは激ウマ。牛骨的なコク・旨味と、スパイスというか漢方というか、スッと吹き抜けるような爽やかな風味が融合して、なんとも異国情緒あふれる驚きの美味しさ。特に、上手くシナジーさせた旨味が、風のように舌の上を駆け抜ける感じがたまりません……麺は低加水の丸麺細ストレートで、低加水のため力強い甘味。ポクポクと軽快な歯応えを楽しみながら、小麦の甘みと牛ソースの協演を堪能できます。
具材は、牛ミンチに細かく刻んだ搾菜、それに薬味のネギとパクチー。結構面白かったのは搾菜で、驚くほどの柔らかさ。独特の風味を抑えて、旨味と透明感だけを残したような仕上がりで、コイツが爽やか系の牛ソースにも純朴な甘さの麺にも、実によく合う。いろいろ中華料理は食べてきたつもりですが、こういう搾菜の使い方は初体験。一緒についてくるスープも実に爽やかな牛骨風味で、これなら「牛骨拉麺」も、食べ慣れてきた蘭州拉麺とはひと味違いそうですな……
中盤早々からは味変に挑戦。卓上アイテムは「自家製辣油」と「香酢」、そして「大蒜油」。まず辣油をイッてみますと、コイツが何とも香ばしく、ひと匙くらいなら辛味の効き方も実に穏やかで、グッと美味さのエッジが立つ感じ。終盤に「大蒜油」を試しましたが、コイツは濃厚。グッと牛の風味が引き立って、味のボルテージが数段上がります。

重さ・クドさが気になる牛骨・牛肉を、驚くほど「アッサリ」とした食べ心地に仕上げて話題となった蘭州拉麺ですが……蘭州拉麺がピカソの「青の時代」なら、コイツはキュピズムの世界ですな。そぎ落とし、再構成するほど、真のイノベーションがクッキリと見えてきて、この一杯が蘭州拉麺の「発展形」であることが、ジンジンと伝わってくる一杯。平日夜なら空いているようだし、コイツは「牛骨拉麺」も試しておかねばなりません。
店舗情報は、こちら。
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