2019/10/30
拉麺 五瞭@三田 「牛骨白湯(コムタン)」

今年最大にして、おそらく最後の台風が過ぎ去って、本格的に秋めいてきた今日この頃。家族の都合で早起きしたため、夜も早めに腹が減り、仕事を切り上げ三田の新店「五瞭(GORYO)」へ。場所は慶應仲通り商店街から路地に入り、さらに行き止まりの小さな路地(写真)に入った奥、左手2階から突き出た白い袖看板が目印です。

10月オープンのこのお店、メニューは「牛骨白湯(コムタン)」「辛牛骨白湯(ユッケジャン)」「牛骨清湯」の3系統、さらに「ハヤシライス」も自慢のようで、「お好みの拉麺+ミニハヤシライス」で1,200円のセットも。とりあえず、「牛骨白湯(コムタン) 並」(830円)をポチッとな。韓国料理には疎いので、配膳を待ちながらスマホで「コムタン」を検索、牛骨を使わない清湯や、牛骨も使う白湯など、イロイロある模様ですが、さて。
パプリカやブロッコリーが、鮮やかに彩る丼景色。まずは、スープをひと口……なんとも実に、ふくよかな味わい。いかにも麺によく絡みそうな、絶妙なトロミがついたこのスープ、単なる牛骨とは思えない味の厚み・ふくよかさがあって、一瞬牛テールかと思いましたが牛脂・肉汁的なクドさもなく、牛の旨味も実に伸びやか。口に入れるとサラリと溶けて、スッキリと喉奥に消える感じもたまりません。
麺は、中細ストレート。コシとしなやかさを両立させた見事なゆで加減で、甘味も実に力強い。非常に豊かな表現力のこのスープを、素直な力強さの甘みでしっかりと受け止めており、両者の相性やバランスも実に見事。麺もスープも、スルリと喉奥に消えていく潔さ、なんともいえぬ快感ですなぁ……これは、相当練り込まれたコンビネーション、思わずマジマジと、厨房のご主人を見つめたりして。
具材は、牛挽肉に味玉半個、パプリカ・ブロッコリー・キャベツといった野菜類に、揚げネギが少し。メインに牛挽肉という配役もドンピシャで、麺によく絡んで咀嚼とともに肉の旨味をふりまいて、それが肉汁的なふくよかさも併せ持つスープに、実に滑らかに接続して……これはもう、完全に計算し尽くされていますな。野菜でフレッシュ感を加え、一方では揚げネギでコクを深めようという、脇役による「ドラマ」の広げ方も計算尽く。
後半は卓上アイテムで味変。おろしニンニク、黒山椒、胡椒が用意されており、まずは黒胡椒を試してみましたが、牛の味わいの広がりを柔らかく塩ダレでまとめたスープに、シッカリと「陰影」が加わる感じで、味の立体感が増してきます。さらにニンニクを加えますと、独特の風味はスッとスープに溶けこみ消えてしまい、全体の旨味がグッと増すという、驚きの反応。ニンニクでこういう変化が起こるとは、初めての体験かも。

私も長く働いていますから、人の働きぶりを見ると、仕事への姿勢がわかる歳に。見つめた厨房のご主人は、キラキラと光る眼差しで真剣に仕事に打ち込んでおられ、退店時にもドア外まで送っていただき、「写真を撮っていただいてありがとうございました」と一礼(いやいや、お礼を言われるようなことではありません)……そういう真摯な姿勢で取り組んだ結果が、この誰も成し得なかった境地の一杯に凝縮しておりますな。三田の路地裏で出会ったイノベーション、次回作が楽しみです。
店舗情報は、こちら。
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