2020/08/16
麺処 リュウグウ@神保町 「あさりらーめん」

神保町、白山通りの東側に来たら、必ず通っていた「ミッキー」の前。ここを通ると、食べ歩きではなく本当に古本漁りに神保町に通っていた頃を、懐かしく思い出していたものですが……(写真は2019年秋撮影)

2階の「ミッキー」はかなり昔にすでに閉店、1階の居酒屋「酔の助」は有名店で、ドラマの撮影などにも頻繁に使われていましたが……コロナの影響で、ついに閉店。建物はすでに取り壊されて、ご覧のような有様。少し暗い気持ちになりながら、6月オープンの新店「リュウグウ」へ。

「ねいろ屋」や「人と羊」があった場所に入ったこのお店、先輩2店はそれぞれ豊洲・荻窪に「栄転」されておりますので、結構「験のいい」場所なのかも知れません。メニューは「あさり」「しじみ」「貝汁」の3系統、ベースは「貝汁」で、それに「あさり」「しじみ」で追い出汁したのが他の2つのようです。とりあえず、店外にも写真掲示があった筆頭「あさりらーめん」(860円)をポチッとな。
スマホのAI補正は派手過ぎて、激古デジカメでは地味過ぎるという、悩み多き今日この頃、今回は丼全景のみAI補正版で。まずは、スープをひと口……これ、意外と新しいアプローチ。「鶏ガラ、しじみ、香味野菜」を合わせて煮出したという貝汁スープ、これへさらに「あさりをいれて出汁を取」ったものだそうですが、貝特有のエグミのない、スッと突き抜けるような旨味が印象的。アサリのスープといえば、昆布と合わせあらかじめ旨味をシナジーさせておくのが基本と思っていましたが、その構造・手法を全く変えて、鶏としじみ・アサリの旨味だけで仕上げようという斬新さ。こんな透明感溢れるスマートな味になるんですな……目からウロコが2、3枚。
麺は、やや細めの中太ストレート。強いスープの旨味の中で小麦の甘みが引き立って、多加水とは思えない食材の存在感。ここは入口近くに置いてある紙エプロンを装着して、思う存分「ズバァ~~」と麺をすすり込み、透明感溢れる貝の風味が滑らかな麺肌をスピーディに駆け抜けるさまを、しっかり堪能していただきたいところ。私は思い切りやり過ぎて、食後紙エプロンについた白髪ネギを見て、ちょっと反省。
具材は、殻付きアサリにメンマ、それと水菜に白髪ネギ。驚いたのはアサリの風味が濃いことで、いくら旬だからといってここまで強いものかしら……自分でも調理にアサリを使いますが、よほどよい素材を使っているか、なにかひと手間入ってますな。メンマは堂々たる穂先を使用、キチンと下処理した上で、薄味ながらイイ感じに仕上がっています。

ひと昔前は、アサリのラーメンといえばお決まりのスタイルがあり、昆布と合わせた「潮汁」タイプか、ベタの「アサリ・バター」というのが定番で、商売なら顧客の「常識」に寄り添うのが当たり前……こういう「自縄自縛」を、経営学の世界では「ロック・イン」と呼びます。それを「豊かな風味」で突破する店も出てきましたが、そこには原価の壁があったりして……そんなジレンマを、シンプルながら新たな「構造」により突破しようという、面白い一杯。アフター・コロナ時代の生き方を、示唆する一杯かもしれません。
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