2020/08/30
豚そば 月や@広尾 「豚豚そば」

例年より大幅に遅れての梅雨明け、コロナもテレビは騒いでいますが、死者も重傷者もほとんど増えず、「なら、いいかな」的な雰囲気が漂い始めました。週末は、私も少しだけ足を延ばすことにして、広尾の新店「月や」へ。

7月オープンのこのお店、博多「支那そば 月や」のセカンドブランド店で3店舗目にして東京初進出、場所は広尾にオープンした商業設備「EAT PLAY WORKS」の2階。麺メニューは、いわゆる素ラーメンの「豚そば」と、チャーシュー入りの「豚豚そば」、「替え玉」(150円)に加えて、「追いスープ」(200円)が用意されているところが目を引きます。とりあえず、「豚豚そば」(900円)をオーダー。ちなみに、この店含め「EAT PLAY WORKS」内はキャッシュレス決済のみですので、ご注意を。
鶏ではなく豚骨による、結構珍しい黄金スープ。まずはひと口……いやぁ、コイツは最高。丁寧に血抜き・アク取りしながら、豚骨を低温でジックリ炊き上げて、チャーシュー用の豚バラ肉とも煮込むことで完成するというこのスープ、ブワッと口腔に広がる豚の風味の中から、透き通るような旨味が突き抜けるという……まさに「豚清湯かくあるべし」的な完璧な仕上がり。クセや歪みを一切取り除き、ひたすら「豚の魅力」のみが、ピュアに抽出されています。
麺は、極細ストレートのいわゆる博多麺。博多製麺処製で、博多ラーメン用に開発された小麦「ラー麦」使用の特注麺とか。バリカタ程度のゆで上げで、ネバリ、ノド越しよりも、ザクッとした歯切れとコシを重視した仕上がり。東京人としては三河屋さん的な、もう少ししなやかでノド越し重視の麺の方が合う気がしますが、「博多ラーメン」なんですから、こういう「質実剛健」的なコンビネーションもアリでしょう。麺量は博多豚骨程度(120g程度)ですので、足りない方は替玉を。
具材は、麺にのる煮豚と、別皿で提供されるネギとカボス。煮豚はもともとスープと一緒に煮たものですので、スープの豚風味に間欠的なフォルテシモを加える程度の役回り。面白いのはカボスで、能書き通り終盤に絞り入れますと、華やかな豚風味と透き通る旨味によるスープの味わいが、ヒュッと手品のように透明感のみに収束する感じで、なんとも爽やかな後味に。

数年前、豚清湯が密かなブームになっていましたが、当時提案された諸作品をブッチ切る、圧倒的な完成度。例えていえば……もしあのスタンリー・キューブリックに料理の才能があり、もし博多豚骨に感動したとしたら、そのオマージュとしてこんな一杯を作り上げそうな……そんな圧倒的な表現力と、張りつめたような透明感が印象的なスープ。映画「2001年宇宙の旅」「時計仕掛けのオレンジ」あたりがお好きな方、機会がありましたら是非。
店舗情報は、こちら。
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