2021/09/25
横浜家系らーめん 侍 渋谷本店@渋谷 「らーめん+ほうれん草」

渋谷を仕事の拠点としていた時代、よく通った「侍」が、8月に井の頭線・渋谷駅の真ん前に移転したとか。移転2週間後くらいに訪店してみましたが、18時過ぎには材料切れで店じまい。また少し日を空けて、終日雨だった平日に再訪しました。

東大前「侍」の渋谷支店として、2009年に渋谷3丁目にオープン、町田家の流れをくむお店と聞いています。当時から非常に本格的な家系を出す店で、渋谷ではNo.1の家系店でしたが、なにせ駅から少し離れており、手狭な店なのに「いつ行っても満席」というほどではありませんでした。それが、道玄坂も近い井の頭線駅の真ん前に移転して、人気が出ない訳がありません。
メニューは、「らーめん」(醤油)と「特とん塩」(塩)の2系統、家系で「塩」とは珍しいですが、2010年頃から提供している当店オリジナルメニューです。移転前はブラスチックの札が出る年季の入った券売機でしたが、最新式にリニューアル。まずは「らーめん」(780円)にご祝儀の「ほうれん草」(150円)をつけてポチッとな。移転前は、頑固そうなご主人がワンオペしていることが多かったのですが、移転後はなんと5人ほどのスタッフで切り盛り。しかも、中心となって仕上げ・盛り付けしているのは、なんと若い女性店員……いやぁ、あの「侍」が、こういう店になりましたか。
移転前と同じ、スープの深い褐色が、なんとも魅惑的な丼景色。まずは、スープをひと口……うんうん、移転しスタッフは変わっても、あの「侍」は健在なり! 店内の大型寸胴に、ゲンコツを山盛りに入れて炊き出された、実に濃厚な豚骨がベース。ガッツリ炊き出したゼラチン質のポッテリ感と髄のホノ甘さ、これに対して強めに醤油カエシをきかせてキレをクロスさせバランスさせるという、町田家の流れをくむ独特の方法論が今も健在。いやぁ、これは美味い……渋谷は若いお客さんが多いので、「濃いめ」を頼む人も多いのですが、コイツは絶対「フツー」推奨。
麺は、家系では王道の酒井製麺製で、かなり太めの中太ストレートで、断面がやや偏平している典型的な家系麺。「普通」指定で少し柔らかめのゆで加減なのも以前と同じ。これにより強調された小麦の甘みが、スープの強烈な豚の旨味と醤油のキレで、ダイナミックにフォーカスされるという方法論も健在……渋谷のお兄さんたち、「カタメ」をお約束のように頼んでるけど、町田家・武蔵家系のお店では、ソイツはチョイと我慢してみたら(逆に「柔め」推奨)。
具材は、チャーシュー、ほうれん草、海苔にネギ。この店は、おざなりなチャーシューをのせる家系店が多い中で、傑出したクォリティを誇った店でしたが、スタッフの人数が増えさらに手を加えられるようになったせいか、大きさも仕上がりも味も、以前より格段にクォリティアップ。家系店でこの仕上がりは、まず滅多にお目にかかれません。
問題はほうれん草で、私の家系訪店歴を振り返っても最大量の「盛り」ですが……思い返せば、いつも家系店では「ほうれん草」を追加する私が、この店で追加したのはこれが初めて。なぜかといえば、初訪の際にユルめの絞りでフレッシュ感を打ち出す方法論と知って、追加を避けてきたのでした……ご祝儀とはいえ、コイツはヤリ過ぎましたか。

移転後も、「侍」健在。ただこの日も、私が食べている間(18:30頃)にほぼ満席となり、店外に少し行列ができていましたが……こういう極めて本格的な家系に、渋谷の若者が触れる機会が増えたということは、ラーメン業界にとっても喜ばしいこと。そのうち、自動的に「カタめ」「濃いめ」「多め」を頼まずとも、自分の知らない「理想解」が用意されていることに気づくでしょう。人気店となった「侍」には、行列嫌いの私はもう通えませんが、いつまでも渋谷を代表するお店でいてください。
店舗情報は、こちら。
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