2021/11/23
和え麺 藤@大門 「藤和え麺」

あの名店「藤しろ」が、10月20日に油そば専門店を大門に出したと聞きつけ、いつもはオープン直後の混乱は避ける私が、23日には訪店したのですが・・・・・・「どうしても納得のいかないところがあり、少しの間店を閉め、味を作り直す」という張紙がお出迎え。ま、気長に待つことにしていたところ、11月2日再オープンのお知らせ。

メニューは「藤和え麺」と「煮干し和え麺」の2系統、「煮干し」の方は閉店中に追加されたもののようです。とりあえず、筆頭ボタンの「藤和え麺 並盛り160g」をポチッとな。ボタンに鶏が書いてありますが、何かを暗示しているのかしら……店内はテーブル席のみ、食券を渡して着席し、能書き(写真は下掲)を読んでおりますと「トッピングは牛ホルモンがおススメ」とのこと。慌てて券売機で、「牛ホルモン醤油煮」(150円)を買い足しました。
具材構成がシンプルな油そばに、味噌汁のようなスープがついてくる独特な構成。このスープはどう使うのか店員さんに聞いてみたら、「普通の味噌汁のように口直しにどうぞ」とのこと、「口直し」が必要な「何か」が潜んでいるということですな……丼底のタレも、多少オイリーに見えますが、半透明でサラサラしたもの。
とりあえずサックリとまぜ込んで、ジュルリとひと口……おぉ、コイツは意外なほどの「コッテリ」スタイル。店頭の看板には、タレについて「ほのかに香る魚介、貝の計算された風味」とあり、確かに味そのものは淡麗な旨味が印象的。ただ、問題は「油」で、コイツは牛脂をタップリ使ってますな……味は淡麗、食べ心地はコッテリ、こんな油そばは初めてかも。
麺は、あの「とみ田」の心の味食品製で、少し太めの中太ストレート。強めのコシとシッカリとした甘み、そしてツルリとした麺肌で、まさにこのタレに打ってつけ。魚介の旨味を、牛脂の粘度で麺にシッカリとまとわりつかせ、心の味食品独特の力強い甘味を、旨味でグイグイ引き立てようという作戦。実によく考えられたコンビネーションですな。
具材は、チャーシュー、メンマ、ナルトにネギ、そして追加の牛ホルモン醤油煮。なんといっても白眉は牛ホルモン醤油煮で、別皿で提供されたコイツを、麺と一緒に頬張りますと……醤油で味付けられた牛ホルモンのムンムンとした味わいが、タレのムンムンとした牛脂で包まれて、心の味食品の麺の甘みと溶け合っていくという……いやぁ、コイツは久々のカタルシス。先人の記録では、オープンした当日の券売機にもこのトッピングのボタンがありますので、最初からこのクライマックスを計算していたのでしょうな。

卓上の味変アイテムは、唐辛子酢、酢、刻み生姜、刻みニンニク、そして一味唐辛子。それぞれ使い方の能書き(写真は下掲)がありますが、この一杯のスタイルから、まずニンニクで牛脂のコッテリ感を盛り上げて、生姜で一気に風味を変えるという作戦を選択。コイツが見事にハマりまして……是非、みなさんにもお勧めします。ちなみにスープは魚介出汁ベースですので、店員さんのオススメ通り、油そばに下手に混ぜず、箸休め的に使われてはと。

「濃厚」「淡麗」という軸に対して、「コッテリ」「アッサリ」という軸があるとしても、通常は「濃厚」=「コッテリ」という相関が強すぎて、あまり意味がない2軸となるのですが……「淡麗」&「コッテリ」という、未知の第四象限を狙ってきた驚くべき一杯。先日いただいた三軒茶屋「油坊主」の「トマト」、牛骨スープとトマトで旨味をシナジーさせて麺に絡めるという天才的な一杯でしたが、それに通じるものを感じますな……そういえば「藤しろ」も三軒茶屋にお店があるし、この天才的な2品には、あるいはそうしたつながりがあるのかも。
店舗情報は、こちら。
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