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中華そば ひらこ屋@東京 「濃口煮干そば」

ひらこ屋@東京・20221029・待時間表示
 全国のご当地・有名ラーメン店が期間限定で出店する、東京ラーメンストリートの名物企画「ご当地ラーメンチャレンジ」。いつも大行列を巻き起こしているのを、行列嫌いの私はいつも遠巻きに見ておりましたが……第3弾の佐野ラーメン「ようすけ」は我慢しきれず並んでみたら、意外に早く入店できたことに気をよくして、今回は第5弾の青森「ひらこ屋」に挑戦。掲示は「25分」待ちですが、12分ほどで入れました。
ひらこ屋@東京・20221029・店舗
ひらこ屋@東京・20221029・券売機
 「ひらこ屋」は2005年に青森県青森市で創業、煮干し一筋のお店として噂はかねがね聞き及ぶものの、こちらはなにせ東京都心のみが活動範囲、デパートの催事やこういう企画でしかお会いすることはできません。メニューは「濃口煮干そば」と「あっさり煮干そば」の2系統、この店はチャーシューのバリエーションが意外に深いと聞いており、それが4種も入るという「濃口特製」がかなり気になりましたが……まずは基本の「濃口煮干そば」(950円)をポチッとな。
ひらこ屋@東京・20221029・濃口煮干しひらこ屋@東京・20221029・スープ
 スープ表面にキラキラ輝く煮干しの銀鱗が、超激ハードなドラマを予感させますが、リボンのように結ばれたメンマが、そんな緊張感をほぐすアクセント。まずは、スープをひと口……プロだけがなしうる、統制された「ハードボイルド」。まずハッとさせられるのが甘みが全くないこと。煎餅その他、東京人は甘塩っぱい味が大好きで、煮干しラーメンにも甘い調味を望みますが、ハードでビターな濃厚煮干しに対して、甘さは皆無のツンデレ系。
 さらに驚くのは、カエシで敢えて加えていると思われる微妙な「酸味」。従来の濃厚煮干し系では、セメント系など煮干しの風味をワイルドに打ち出すだけの「やりっぱなし」感がありましたが……それを酸味でグッと引き締めて、「ワイルド」にとどまらない、目指す方向を「統制(コントロール)」しようという、明白な意志が感じられます。コイツは凄い。
ひらこ屋@東京・20221029・麺
ひらこ屋@東京・20221029・麺しみ後
 麺は、切り歯16番ですから太麺といってよいストレート。かん水を抑え、加水率もある程度抑えた独特のアプローチ、ゴワッとした口あたりに、モスッとした歯応えで、その無口な純朴さが津軽煮干しスープにそれなりに合いますが……序盤はちょっと、ギコチなさを感じるのもまた事実。しかし、麺ゆでを抑えた効果か、後半に向けてご覧のように麺がスープを吸って……甘さの欠如したスープの味空間に、小麦の甘さがグイグイ自己主張を始めだすと、いよいよこの一杯のクライマックス。
ひらこ屋@東京・20221029・具材ひらこ屋@東京・20221029・チャーシュー1ひらこ屋@東京・20221029・チャーシュー2
 具材は、チャーシュー、メンマ、チャーシュー2種と、薬味のネギ。白眉はチャーシューで、同じモモ肉ながら部位も調味も切り方も変えた2種を添えるという、凝った構成。デフォの「濃口煮干し」に入るのは、よくあるモモ部位をジックリと味付けた厚切りタイプと、部位を変えた薄切りタイプ。厚切りタイプはトラディショナルな美味さと食べ応え、薄切りタイプは同じモモ肉でも、「しんたま」か「すね」と呼ばれる部位のようで、しかも少し低温調理系の処理で素材の味わいが活きており、コイツがなかなかの食べ応え。

ひらこ屋@東京・20221029・能書き
 食材等の解説は、ご覧の能書きを見ていただくとして省略します。個人的に、この一杯からの最大の学びは、煮干しであっても、調味料的な「甘さ」から「解放可能」であるという事実。人生を振り返っても、広島、関西、関東と、概ね「甘さ」的な調味が絡むラーメンの世界に生きてきましたが……それがなくても成立する、津軽ラーメンの奥深さ。あと数年でリタイアしたら、是非現地・津軽でいただきたいと思います。

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中華蕎麦 國@赤坂 「醤油煮干蕎麦」

國@赤坂・20221022・路地
 煮干オンリーのスープと、自家製麺で勝負するお店が赤坂にできたとか。場所は、赤坂駅6番出口から赤坂通りを乃木坂方向に3分ほど歩いたところにある、南へ延びる路地の中ほど。このあたりはこれまで結構歩いているのですが、こんな路地があるとははじめて知りました。
國@赤坂・20221022・店舗
國@赤坂・20221022・券売機
 10月オープンのこのお店、あの「食の道場」関係のお店だとか。外装・内装とも洒落ており、券売機も最新型で、資本系なのかとも思いましたが、詳細は不明。メニューは「煮干蕎麦」が「醤油」と「塩」、他に「貝だし」系統があるようですが準備中。とりあえず、筆頭の「醤油」シリーズから、「味玉醤油煮干蕎麦」(1,000円)を、ポチッとな。店内はカウンター6席のみですが、ラヲタの間ではSNSで結構話題になっている割に、土曜13時で先客1名。
國@赤坂・20221022・醤油國@赤坂・20221022・スープ
 レアチャーシュー、メンマ・味玉、スープといった食材の色が、なだらかなグラデーションを繰り広げる美的な景色。まずは、スープをひと口……おぉ、何とも麗しき「煮干し」の世界。煮干しのクセを強調するわけでもなく、旨味だけを押し出すわけでもなく、背黒煮干の苦みとコク、そしてピュアな旨味を共存させた見事なスープ。ただ、水で炊き出しただけでは、こういった風味と旨味のバランスは難しく、「秘訣」はスープに浮かぶ香味油にありそうですな……この脂が、煮干しの味空間の一端を担っているのは確か。さらに、麺との絡みでも活躍します。
國@赤坂・20221022・麺
 麺は、自家製の中細ストレート。パツッとした口あたりとポクポクとした歯切れから、低加水麺かとも思えますが、ゆで時間が1分強なので、微妙な加水率に仕上げているようです。麺肌に浮かぶ粒々でわかるように、全粒粉使用で小麦の甘さが非常に強い。序盤は、ノンアニマルでどうしても線の細い味わいのスープに対して、この麺の味の押し出しはちょっと強いと感じるのですが……香味油が煮干し風味を麺にまとわせ、ザラついた麺肌がスープをドップリと持ち上げて、さらに加水率により後半へ向け麺がスープを吸うことで……ドンドンと、バランスがとれて来るから、何とも不思議。
國@赤坂・20221022・具材國@赤坂・20221022・メンマ國@赤坂・20221022・チャーシュー
 具材は、チャーシュー、メンマと薬味のネギ、そして追加の味玉。印象的だったのはメンマで、いわゆる材木型ながらシャクシャクと柔らかい食感、醤油と煮干し出汁でシッカリと味つけられており、スープはもちろん、スープを吸った麺との相性が実に見事。実は味玉も同様で、黄身に醤油と煮干し出汁がキッチリ効いており、実は結構珍しい仕上がりに。こういったユニークな取り組みに比べて、このレアチャーシューはなんか凡庸に感じられたり……魚介系スープに対して、ビシッと濃く味付けたバラ系なんかでもよかったのでは。

國@赤坂・20221022・看板
 見事な味わいの煮干ストレート・スープを、麺の豊かな小麦の甘みで受け止めて、その「相性」の不足分を、香味油でカバーしようという、前代未聞のアプローチ。「麺が勝ち気味かな……いや、そうとも言えない。だけどやっぱり……」みたいな序盤の雑念を、スープを麺が吸った後半では微塵も感じさせない、見事な設計。こんな高度なワザを、煮干しで仕掛けるだけで驚きなのに、今後貝出汁でも仕掛けるつもりとは……その成果については、ファンは必見になるでしょう。

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プロフィール

miles

Author:miles
 千葉南西部や都心のラーメンを食べ歩きながら、某サイトへ5年にわたりアレコレ書いてきましたが、都心に引越し連載も1,000回を越えたあたりでこちらへシフト。他の話題についても「So What?」な気分で、アレコレ書いていこうと思います。
 とはいえ、ほとんどラーメンの話題になってしまうのか……

年齢:マジ・オッサン
仕事:銀座・新橋から離れ、今は世田谷系・半フリーランス
オッサンゆえの自己ルール:
 ・6人以上の店外行列はパス
 ・週3杯以内、日1杯以内
 ・連食・副食・大中盛NG
 ・移動は電車&徒歩
 ・移動時間30分以内
 ・飲み後のシメNG

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