2023/01/29
豚麺 気@三田 「とんこつラーメン」

【まだ師走の頃の食べ歩き】
世間はクリスマス・イブの土曜日ですが、仕事の方はそんなことはお構いなしの年末進行。今日も午前中は仕事をこなして、午後ようやくひと息ということで、三田の新店「豚麺 気」へ。

12月オープンのこのお店、場所は「元祖竹岡式ラーメン 竹福」があった場所ですが、店内は箸も含めて全く変わらず、充実した酒やおつまみ構成などスタイルも同じで、どうやら居抜きではなくリニューアルのような気が。メニューは「とんこつラーメン」がメインですが、「特製 辛味噌ラーメン」も加わるのが特徴ですな。

それにしても、基本の「とんこつラーメン」が990円とは、すごい時代になりましたな……それと、「チャーシュー増量」が220円で、「とんこつチャーシューメン」が1,210円というのは当然ですが、「高菜増量」も220円で、「高菜とんこつラーメン」が1,100円というのはどういう「算数」なんでしょう……これがオススメという意味かしら? そんな気もして「高菜とんこつラーメン」で。麺の硬さが指定可能で、今回は「バリかた」で。
大判のチャーシューが2枚とタップリのキクラゲという、博多豚骨系にして豪華な丼景色ですな。まずは、スープをひと口……これは博多豚骨系とは違う、ひと頃流行った豚清湯の「白湯版」ですな。100%豚のみで、圧力寸胴により作ったというこのスープ、いわゆる豚骨的な臭いやクセがほとんどなく、つまりいわゆる豚骨的な濃厚感も全くなくて、博多系では特に強いカエシによるキレもなく、ピュアに「豚の旨味」だけにフォーカスを絞った、思い切りのいい作り込み。ひと頃、こういうアプローチの豚骨清湯が流行りましたが……それを白湯に置き換えているという印象。既成概念にとらわれず味だけに集中すれば、いや相当な完成度です。
麺は三河屋製麺製で、いわゆる極細の博多麺。ゆで加減は「粉おとし」から「やわらかめ」まで6段階で指定可能で、「バリかた」指定でしたがドンピシャリ。ボリボリとした歯切れを楽しめる極細麺、低加水ゆえ甘みも強く、それをカエシの塩味ではなく、スープ自体の旨味で引き立てようという面白い構成、コイツはやはりかつて流行った「豚骨清湯」の系譜ですな……麺量も、いわゆる博多豚骨系の量(120g程度)よりも多く、食べ応えは十分です。
具材は、チャーシュー、キクラゲに万能ネギ、そして追加した高菜は別皿提供。チャーシューは、いわゆる低温調理系で、この一杯を「博多豚骨」系とみるなら、かなりの異色。調味を抑えて豚肉本来の風味・旨味を強調するスタイルで、スープのスタイルとドンピシャリ。しかも比較的厚切りな上大判で、コイツは食べ応えがありますな……この辺も、いわゆる豚骨ラーメンっぽくない部分。
さらに、別皿提供の高菜も、意外なほど量がタップリ。豚骨に付く高菜にはいくつかタイプがありますが、これは辛さはほどほどにして旨味にフォーカスしたタイプで、予想通りグルタミン酸系の旨味が、スープによる豚の旨味(イノシン酸系)とシナジーして、あまりの美味さにウットリするほど……この旨味のカタルシス、値段なりのクォリティはあったりして。

従来の「豚骨」という概念から一歩踏み出し、「豚の旨味」のみにフォーカスした、コンテンポラリーなアプローチの一杯。その問題提起は、前店の千葉・竹岡式とは次元が違い、こんな三田の路地裏で展開すべき内容ではありませんな……「ネオ・豚骨」というべき新たなスタイル、いずれターミナル駅の激戦区で世に問われるべき一杯だと思いますが、まず三田の路地裏にある今のうちに、興味ある方は是非。
店舗情報は、こちら。
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