2023/03/05
HACHIKI 八起庵 日本橋店@三越前 「京の鶏SOBA」

京都の鶏料理専門店「京の鳥どころ八起庵」、すでに神楽坂や池袋東武、横浜高島屋にも出店していますが、今回麺にフォーカスしたお店を三越前に出したとか。かつて京都に住んでいたこの私、そんな店あったっけと本店住所を検索すると、なんと川端丸太町で1970年創業……かつてバイクで頻繁に走り回っていた界隈なのに、自らの不明を恥じるばかり。早速訪店。

昨年12月オープンのこのお店、三越前駅から首都高上野線にむかって東に200mほど歩いたあたりで、あの「室壱羅麺」のほど近く。それにしても「室壱羅麺」もオープンから14年、街の発展にも支えられたのでしょうが、これほどの長寿店になるとは。

メニューは麺を中心に親子丼などとのセットを展開。麺メニューは「京の鶏」「京の鴨」の2系統、水炊き風のスープだという「京の鶏SOBA」(税込み976円)を、ポチッとな。厨房はオープンキッチンで、カウンター前の仕切りも低く調理工程が丸見え。麺ゆでと手鍋によるスープ温め、それにセットの親子丼用の親子鍋の温めを同時進行させて、しかも1ロット・セット2人分をすべて同時に仕上げるという超人技。コイツは一見の価値ありですぜ。
一見して、鶏水炊き鍋のインスパイヤだと分かる丼景色。まずは、スープをひと口……いやぁ、旨味重視の穏やかな味。昆布出汁に鶏を合わせ、骨が煮崩れるまで長時間炊き出したというこのスープ。ラーメン業界的な鶏白湯とは、濃厚さが段違いに上ながら、炊き込んだ分乳化も深いので、舌触りの優しさに加えどこかアッサリ感も漂って、さらに博多水炊き(後述)とは違う優しいキレの加え方で、「濃く優しい」、独自の「京風感」を出していますな……実に巧みな味造り。
麺は、京都の老舗「麺屋 棣鄂」製で、やや細めの中太ストレート。麺表面の粒々模様からもわかる通り、全粒粉を9%使用とのことで、驚きなのは絶妙のゆで加減。重みのある口あたりと歯応えですが、ノド越しはツルリと実にスムーズ、さらに十分なコシも感じられて……オープンキッチンゆえゆで工程がよく見えますが、タイマーも使わず、場合によってはゆで後に湯気にあてたり一瞬水にさらしたり、実に自在な麺の仕上げ。それでこのクォリティですか……長年食べ歩いてきましたが、ちょっと目からウロコが2, 3枚。
具材はまさに水炊き鍋風で、鶏肉に白菜・ネギと紫タマネギ、それにごく少量の柚子。鶏肉は細かく切り分けたモモ肉で、能書きでは「独自の方法で熟成させ、旨味を凝縮させて」いるとか。実際、鶏モモ肉は素材と仕込みの良し悪しとが、食べ手にダイレクトに伝わってしまう食材で、それを汁モノでキチンと胸張って主張してくる店は、高級中華店かラーメン店でもごく限られます。さすが京都の有名店、胸張って堂々と中央突破、そんな見事な鶏の味わいですな……この鶏がタップリ入る、「京の水炊きSOBA」でもよかったかも。

関西で「水炊き」というと、昆布出汁で食材の味を煮出して、ポン酢系のタレでいただくという、京都で言えば「湯豆腐」的な料理。鶏白湯の濃厚な味わいを楽しむのは、「博多系」だと思っていましたが……ただ、「もつ鍋」でも「鶏水炊き」でも、塩分による「濃厚感」演出が強いのも「博多系」で、そこを穏やかに味わい深く修正したのが、この「京風水炊き」なのでしょう。いいじゃないですか……私の心は今、鴨川を渡って丸太町通から東大路通を左折して、百万遍に向かっています……
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