2023/04/02
夕焼けラーメン@小川町・淡路町・新御茶ノ水 「夕焼けラーメン」

まだ3月前半だというのに、あれよあれよという間に気温が上がり、花見はとっくに通り越して5月頃の暖かさ。12年前の同じ日、東日本大震災が起こりましたが、あの日も今日と同じく良いお天気でしたが、今日よりはずっと寒い一日でしたな……ウォーキング終点で黙祷すべく、腹ごしらえは小川町の新店「夕焼けラーメン」で。

昨年(2022年)12月オープンのこのお店、場所は以前「下松ラーメン 五ツ星」とか「鶏白湯 しら川」があったところ。メニューは「夕焼けラーメン」「夕焼けつけ麺」「夕焼けまぜ麺」の3系統で、いずれのメニューも「おこげ」をウリにしているようです。とりあえず、券売機の筆頭ボタン「夕焼けラーメン」(800円)を、ポチッとな。

券売機にはボタンがなかったので気づきませんでしたが、カウンターには「神田コスパ最強ランチへの挑戦」と題したランチメニューがあり、「ステーキプレート」「牛タンプレート」など面白いラインナップ。本格的なビーフカレーもラインナップされて、なんとなくご主人の出自がイメージできるような……
金色の丼に金色のレンゲという、関白秀吉もビックリな丼景色。まずは、スープをひと口……なかなか高度な「レトロ」表現。鶏ガラ主体と思われるベーススープ、これに魚介等の下支えもあるのか実に豊かな旨味があり、さらに生姜を強めにビシッと効かせ、薄口使用と思われる醤油ダレのキレとコクを最大化。生姜で「レトロ」感を出しながらも、それを裏で支える演出技術が時代の最先端といえる完成度で、「羊の皮を被った…」的なポテンシャルがありますな……思わずニヤリ。
麺は、かなり細めの中細ストレート。これを柔らかめにゆであげて、小麦の甘みを強調することで「レトロ」感を出していますが……加水率を微妙に高めて、コシと口あたり・ノド越しをキープしつつ、断面を微妙に偏平にしスープ持ち上げも最大化して、理想的なバランスに持ち込むという……う~~む、金色食器による派手な演出と裏腹な、結構緻密な計算。

具材は、チャーシュー、メンマ、ほうれん草におこげ、そして薬味のネギ。チャーシューは、オープン時は煮含めるタイプだったようですが、この日はビシッとタレを焼き付けたタイプで大小6枚入り。麺に絡めやすいよう薄切りですが、それでもしっかりと存在感が出せるように調味されており、オープン以降の工夫が見事に開花。おこげも、一体化したソリッドタイプと、パラバラに崩したタイプを併用。前者にスープを浸ませて米の甘みが引き立つあたりを楽しむもよし、後者を麺に絡めて2つの甘みがスープと奏でる「ハーモニー」を楽しむもよし……これらも、相当計算されています。
終盤は、卓上アイテムで味変に挑戦。本来はグラインダーで投入する黒胡椒だけの設計だったようですが、丼やまぜ麺用に提供していた特製ラー油が、ラーメンにも合うという声に応えて卓上常備になったとか。胡椒もラー油も投入しますと……いやぁ、もともと生姜でアゲアゲ的なレトロ感が漂っているこの中に、あの「出前一丁」的「ごまラー油」風の風味が溢れるに及んでは……われら昭和世代は絶句するしかありませんが、このあたりで働く平成世代には、この「洒落」が分かるかなぁ……

ご主人の出自は知りませんが、確かな経験と技術に裏打ちされたと思われる、「さりげなく」高度なネオ・レトロ表現。「かけラーメン」が500円、具材を適度に減量したスペシャル「ろくごう丸」が650円など、商売感覚も実にシャープ。これだよなぁ……ラーメンもデフォのメニューで1,000円を超えようというこの時代。だったらどうやって、牛丼や蕎麦に対して、ランチとしての存在感を訴えられるのか……フル・オプションのメニューに対して、「マイナー・チェンジ」的なメニューを対置するというこの発想、今後追従者を生みそうな気がしますな。
店舗情報は、こちら。
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