2023/04/09
二階堂(移転後)@九段下 「醤油つけそば」

2週間ぶりの週末ウォーク、風雨ともに強くて日比谷~丸ノ内の地下道を行ったり来たり。半蔵門線に乗って九段下に到着すると、袴やスーツで着飾った学生さんの「大洪水」……どうやら今日は、日大の卒業式が武道館であった模様。新店にフラれ、かといって大混雑の九段下駅に戻る気もせず、「二階堂」に退避。

九段下に2016年オープンした「二階堂」、もはや説明不要の名店ですが、建物取り壊しのため昨年5月に近所に移転、九段下駅からのアクセスがかなりよくなりました。その分客入りも改善したようで、何回か訪れましたがいつも満席&行列。この日は雨で、しかもウォーキング後14時前の訪店となりましたので、なんとか入れました。

メニューは数年前からかなり変化しており、「醤油つけそば」に「辛味つけそば」、「醤油そば」と「塩そば」、それに「担々麺」が加わります。移転当初は「醤油そば」が筆頭メニューだったと思いますが、今は「つけそば」系がイチオシなのかな? 最新式の券売機で、「醤油つけそば」(1,100円)をポチッとな。麺量は並(220g)と中(300g)から選べますが、「並」で。
おぉ、つけ汁表面の油層が印象的な丼姿。つけ汁と麺の位置を入れ替えようと、つけ汁の丼に触ると、これが熱いのなんの。火傷を警戒しつつ、まずはつけ汁をひと口……なるほど、コイツは「仕掛け」満載ですな。見かけ通り、高温に熱したつけ汁を油層で覆って温度管理、実際食べ終わるまでつけ汁の温度が許容範囲にキープされるという、驚きの工夫です。地鶏スープをベースに、煮干し・鰹節を加え、島根産生醤油でコクとキレをガツンと押し出した上に、リンゴ酢等で酸味をキリッときかせています。そのお味は、油層が厚く温度が高い前半はやや弱めに感じられますが、後半になるにつれグイグイと力強く感じられます。
麺は、大栄食品製の中太ストレート。移転前とは内容を変えているそうですが、加水率が変わってコシ・弾力とも格段にアップ。ツルリとした口あたりやノド越しはそのままに、北海道産小麦の素直な甘味がグッと舌に伝わってきます。移転前も、主力の「中華そば」と「煮干そば」で麺をかえるほどのコダワリでしたが、この麺もつけ麺用の麺としては最上級ですな……ただ、つけ汁が前半・後半で体感する味が大幅に変化するため、全てにはフィットしません。ま、どちらかというと、中盤から終盤手前が一番よく合いますな。
具材も結構凝っており、チャーシュー2種と、メンマにネギ、そして醤油ダレをかけたゆで野菜が別皿で付くのが大きな特徴。チャーシューは、麺皿で麺にのるのが低温調理の肩ロースで、つけ汁に沈むのが煮豚タイプの豚バラ。これもつけ汁の仕掛けに合わせてあるのか、前半アツアツの状態ではジックリ味のしみた豚バラが、後半温度が下がってつけ汁の味が濃く感じられると、低温調理の肩ロースがよく合います。ゆで野菜はモヤシとレタスで、醤油ダレをかけてあるため、そのまま食べると少し味濃く感じますが、つけ汁に入れても味が薄まらないため、麺に思い切り絡めていただけます。

さすが名店「二階堂」。つけ麺の宿命的な課題と言える、温度と味濃さのコントロールに拘った、「仕掛け」満載の佳作ですが……「仕掛け」を突き詰めることにより、得るものも大きいかわりに、失ったものも大きな印象。たとえば、前半の熱すぎるつけ汁と冷水でシメた麺のアンバランス、終盤にかなり味濃くなってきたつけ汁に、割りスープがなかなか合わないというアンバランス。つけ麺とは、最後つけ汁が温くなるもので、それが割りスープで温まってホッとするものと、食べ手の理解も深まっていますから、無理して「仕掛け」ず、序盤から最善のバランスを追求した方がいい気がした、オジさんでした。
店舗情報は、こちら。
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