2023/09/24
RAMEN GOSSOU 新橋店@新橋 「味玉らーめん」

9月に入り、日も短くなってきたし朝晩も少しだけしのぎやすくなりましたが、昼は35度超えの殺人的猛暑。叩きつけるような陽の光を真正面から浴びながら、灼熱の新橋西口通りをトボトボ歩いて、新店「GOSSOU」へ。

6月オープンのこのお店、雑居ビル2階の居酒屋を間借りしており、2015年に早稲田にオープンしたお店の2号店とのこと。しかし、昔から新橋界隈で食べ歩いて来た人ならすぐピンとくるように、このポスターの丼姿は、あの懐かしの「新橋 おらが」に酷似しており、実際ご主人は16歳から約6年「新橋 おらが」で副店長を務めていたとか。
メニューは醤油の「らーめん」(900円)と塩の「塩らーめん」(900円)の二本立て。これも「おらが」通ならピンとくるように、「らーめん」が創業時メニューの発展版、「塩らーめん」が五反田移転後に開発されたホタテ系新メニューの発展版だと思われ(のちに内幸町でも提供)。15年前、はじめて「新橋 おらが」を訪れた時と同じ、「味玉らーめん」(1,050円)を注文(後会計制)。
動物系油脂が光るスープ表面に、大型のチャーシューに大判の海苔一枚、たしかに「おらが」に似てはいますが、さすがにあれから15年、いろいろ変わっているのでしょう。まずは、スープをひと口……いや、基本的なアプローチは基本同じで、あの「天才」的な美味さは健在。「数種類の貝類と魚介系から抽出」したという魚介スープと、おそらく鶏・豚から旨味重視で炊きだされた動物系のダブルスープ。「おらが」同様に魚粉系のアクセントも感じますが、これは醤油カエシに仕込んだ宗田カツオとゴマ鯖の節だとか。魚介系も動物系も、素材の持つ「ナチュラル」な旨味を引き出し対等に合わせる独特のアプローチで……加えて、鶏的なコクの柔らかさが強められたり、貝類により魚介系の旨味のダイナミックレンジが広がったりと、「おらが」の頃とは格段の進歩。
麺は、やや中太のストレート麺ですが、微妙なネジリとウェーブがかかっているのも、内幸町時代の「おらが」に似ていますな。ゆで時間3分30秒ですが、それでもかなりカタめのゆで加減、ガッチリとした歯ごたえを楽しみながら噛みこめば、ナチュラルな甘みがスッと広がり、ナチュラルな旨味のスープに溶け込みます。このあたりは、ハードなスープと麺のコラボを打ち出していた昔とは格段の変化、時代とともに、こういうソフトなアプローチのほうが好まれるようになったのでしょう。
具材は、チャーシュー、メンマ、海苔と刻み玉ネギという「おらが」時代の基本構成に、ネギや水菜が加わっています。大判の肩ロースチャーシューは「おらが」の象徴ですが、低温調理モノになったところが大きな違い。スープも麺も「ナチュラル」指向ですので、低温調理の方が明らかに合いますな。メンマも昔と同じシャクシャクした食感の材木タイプ、これに刻み玉ネギのシャクシャク感が加わるあたりにも懐かしさがありますが……このネギと水菜はいかがかな。スープも麺も、なるべく素材の素朴な旨味だけで構成しようというコンセプトですので、加える薬味には慎重な吟味が必要。刻み玉ネギは湯通ししてあり問題ありませんが、ネギの辛みと水菜の苦みは、明らかに全体のトーンからは浮いていますな。さらに加えてある大きな柚子片も、効果としてはいかがかな。

「大勝軒」とか「ほりうち」とか、新橋には様々な有名ラーメン店が集いますが、「新橋発祥」でラーメン業界でも独自の発展を今も続けていると誇れるのは、この「おらが」から「GOSSOU」に至る系譜の他、ごく少数しかないのでは……15年前、「おらが」がいわゆる「マッカーサー道路」の近くにオープンしましたが、東京オリンピックへ向け道路を環状2号線に拡幅する工事が始まったのが、早期に五反田移転を余儀なくされてしまった理由。オープンした時には、店のすぐ前まで工事が始まっていましたな……その後、工事していた会社が破綻したり、コロナでオリンピックが延期になったり、さらに「緑のたぬき」のおかげで築地市場の豊洲移転が遅れ、それが環状2号線工事の遅れに直結したりと……あれやこれやの変遷を経て……あれから15年、今また「おらが」が新橋に帰ってきました。元新橋ピープルとして、心より歓迎したいと思います。
店舗情報は、こちら。
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