2023/10/29
銀座らぁ麺 しら石@新橋 「炭火焼鯵煮干そば」

連日の猛暑日・真夏日が、9月下旬にもなってようやく途切れ、久々に完全地上仕様の週末ウォーク。銀座8丁目の新店「しら石」で腹ごしらえして、敢えて銀座ど真ん中を大手町方向に向かうことに。

8月オープンのこのお店、銀座で飲んだ酔客が新橋に向かう、その回廊ど真ん中への出店ですので、当然資本の力によるものですが、あの「はやし田」系の資本も入っているとか。メニューは「醤油らぁ麺」「炭火焼鰺煮干しそば」「昆布水つけ麺」の3系統。「醤油」はいわゆる鶏水系との事前情報、であれば「はやし田」のイメージと大きくかぶりますな。ここは2番手「炭火焼鰺煮干しそば」(980円)を、ポチッとな。

少し驚いたのは提供時間で、私の場合で食券を渡してから配膳まで20分以上。いくつか原因があり、一つはロット処理で、ラーメン系は厨房一名で1ロット2杯、「昆布水つけ麺」は1ロット1杯でしかも二人(全員)がかり、私の注文分はこれら全てを待っての調理開始でしたが、さらに先客がいれば当然それ以上だったかも。原因の二つ目はユニークな麺の処理。タイマーをセットしてゆで始めますが、タイマーが鳴る前に引き上げて、スープの中やタライの冷水の中でじっくり麺線を調整しますが、その工程が異様に長い。整えてはバラし、また整えるを繰り返す。その途中でタイマーが鳴り始めるという、独特の方法論で、私は初めて見る工程ですな。
なるほど、スープと麺線の対比の仕方や、潔い具材の見せ方など、そこはかとなく「はやし田」系の雰囲気が漂う丼景色。まずは、スープをひと口……焼鯵煮干しを使って、この仕上がりはおそるべき技術。能書きによれば、旬の煮干しと昆布や椎茸で出汁をとり、最後に焼鰺煮干しを入れて仕上げたとのことですが……鰺自体が非常に味の強い魚だということはご存じだと思いますが、鰺を煮干しにすると風味や旨味が濃縮され、さらに焼きを入れるとクセまで強調されるため、「焼鰺煮干し」というのは非常に扱いづらい食材です。その強力で独特の風味と旨味を中心に据えながら、それを昆布や椎茸で上手く旨味の「裾野」を形成しながら、鶏の風味もする香味油とカエシのコクで、全体をまとめ上げるという……非常に高度な技術の結晶。
麺は菅野製麺製で、やや太めの中太ストレート。能書きに「番手18」とあり、これは標準的(街中華的)な麺よりはやや太く、喜多方・佐野よりは微妙に細くて白河並みということですが……こんな数字を能書きに書くのもどうかと。いずれにしても、関東から北部の動物系スープに合う麺の太さで、セオリ的には魚介系スープならもう少し細めとなるわけですが……そうか、それでゆで時間前に麺上げし、丼のスープの中で時間をかけてかき混ぜて、馴染ませていたわけですな。確かに、麺にスープがよく馴染んでおり、一方では歯ごたえやコシ、ノド越しもシッカリしていて、コイツはなかなかの食べ心地。

具材は、チャーシューにメンマ、ナルト、そして薬味に三つ葉と少量の刻み玉ネギ。チャーシューは低温調理の「レア豚ロース」、あえて脂肪分の少ない部位を使い、低温調理ならではの肉本来の旨味・風味と、肉に浸みた味わいを、派手さを排した淡泊な仕上がりにまとめており、コイツは秀逸。シッカリ醤油系で味付けた材木メンマや、竹炭を使ったナルトなど、資本系ならではのネオ・レトロ系な表現も面白く感じますが……薬味に何をさせるか、あまり考えられていないような気がする点は、ちょっと残念。これほどの完成度なら、きっと面白い役回りができると思いますが。

かつて職場が近くにあり、このあたりはホームグラウンドでしたが……銀座から新橋に至る酔客ゾンビの「回廊」沿いは、飲みのシメ提供店にとってはあまりにも効率が良すぎて、それゆえ新たな名店が生まれにくい場所でしたが……コロナを経て、ようやく「交代」が始まったのかも。提供時間の問題はありますが、この一杯もクォリティは超一流、しかもこのご時世、銀座でまだ1,000円以下で食べられますので、機会がありましたら是非。
店舗情報は、こちら。
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