2020/10/11
麺屋 上々@蔵前 「鴨塩」

雨の週末、例によってなるべく地下鉄出口から近いお店狙いということで、久々に蔵前へ。この交差点近くには家系の名店がありましたがすでに閉店、寂しくなったと思ったら、新店「上々」が6月にオープン。場所は国際通り沿いで、寿三丁目交差点(写真)から30mほど南。

ご主人は、本郷三丁目「ねむ瑠」や錦糸町「麺魚」のご出身とか。ということは、強烈な魚介系で勝負かと思いきや、オープン当初のコンセプトは「鴨と魚」で、さらにその後味をリファインした模様(写真)。

メニュー名もオープン時から少し変更になり、「鴨塩」「鴨醤油」「鴨油そば」の3系統。蒸し暑さのせいもあり「鴨油そば」が気になりましたが……初訪ゆえ、ここは「鴨塩」(800円)で。店内は厨房を囲むL字カウンターで、余裕のあるレイアウト。小ざっぱりした内装で、椅子とカウンター高さの調整もバッチリです。
やはり、オープン当初ネットで紹介されていた姿から、ひと皮むけた華やかな丼景色、コロナ禍のご苦労が偲ばれます。まずは、スープをひと口……あのクセの強い鴨が主体とは思えない、洗練された味わい。ベースは丸鴨と水のみを使った清湯で、さらに鴨モモ肉も煮込んであるようですが……あの鴨特有のクセが一切ないのが、実に驚き。エレガントで豊かな旨味と、実に力強いボディ感で、「丸鶏上湯」の間違いじゃないかと思えるほど。これに、岩塩と伊吹いりこ、アゴ、サバ、昆布、香味野菜、さらに本枯れ節で煮出したという塩ダレを合わせていますが、こちらも魚介系特有のクセを抑えて、旨味のみを引き出してあります。「鴨と魚」のバランスはまさにイーブン、オープン当初は鴨と魚介系を一緒にスープへ煮出していたようですが、これをスープとタレに分けたからか、非常に洗練された味わいに。
麺は、菅野製麺製の中太ストレート。やや低加水の麺を少しカタめにゆで上げて、後半へ向けスープを吸わせていこうという作戦。パツッとした口あたりと、強いコシ、甘味も非常に力強くて、「存在感」の強い麺ですが……これはちょっと、スープに対して勝ちすぎているかも。おそらく、オープン当初の多少ワイルドなスープに合わせたモノでしょうが、スープがエレガントに進歩しているのですから、こちらも淡麗にしなやかに、少し改良した方がよいのかも。
具材は、鴨チャーシューにメンマ、黒ナルトに小松菜、薬味は白ネギと柚子が少々。鴨チャーシューは、どこかスモーキーなフレーバーで丁寧に焼きめも入れたもの。単体では絶品で、麺ともよく合いますが、このエレガントなスープとはいかがかな……材木メンマもサッパリとした味付けがイイ感じ。面白いのが柚子の効果で、普通ならただの「サッパリ係」ですが、コイツは「全体の味を端でキュッとヒネる」ような役回り、さらに卓上の「山椒ピュアオリーブオイル」を回しかけると、ヒネりがさらに力強くなる感じで、目を見張るような効果的なアクセント。

コロナ禍で心折れる人、あるいは逆に、歩みが一層強くなる人。ご主人は明らかに後者ですな……鴨&魚介で、これほどのピュアな旨味に溢れた世界は、かつて表現されたことはないような気が。そうした大胆な探求のミナモトになる「強さ」とは、たいてい「家族」の力ということになるのですが……ご主人と一緒にお店を切り盛りされる女性店員の方、お二人の会話から、まだご結婚されて間もない気もしますが(違ったらすみません)……この店からは、まだまだ「イノベーション」が起こりそうな気がしますな。
店舗情報は、こちら。
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