2012/03/31
麺処 hachi@新宿 「極煮干ラーメン」

新宿方面の用事が意外と早く片付いて、「これならどこか『数量限定』なんか狙えるかも」などと思いを巡らしますと……メニュー改編後の「hachi」が、宿題になっていることに気付きました。

「hachi」にはオープン直後に訪れていますが、当時のメニューは「醤油」と「塩」の2本立て。ほどなくメニューが改編となり、なかでも昼・夜10食限定の「極煮干ラーメン」(750円)が気になっておりました。「味玉」(100円)と一緒に、店外の券売機でポチッとな。

丼を待つ間、卓上のサラダをつまめる洒落たサービス、今日は「カブの葉と水菜」でしたが……なんか野菜の味がグッと濃くて、活き活きとしたお味、「生産者応援」をコンセプトにするこの店ならではの「見せ場」が、すでに始まっていました。丼は、約5分で到着。

では、スープを一口……この店自慢の鶏・野菜スープに、豆乳、煮干出汁を絡めたと思われるトリプル・スープ、しかも調味料的な味付けはほとんど感じられず、素材の味わいだけで勝負するようなスタイルです。煮干出汁のハードな風味の「気配」がしますが、クリーミィな豆乳でエグみが取り除かれ、イノシン酸系の旨みが大豆のグルタミン酸系の旨みとソフトにシナジーして、ホノボノとした味わい。しかも、煮干の苦みと豆乳の微妙な苦みがさりげなく絡んで、繊細なアクセントを加えます。

麺は、カネジン食品製の中太縮れ。ここから先は、麺がどう、具材がどうという世界ではなく……スープにタップリ含まれた野菜のエキスに、麺由来の小麦の風味、具材のホウレン草や白ネギ、青ネギ、ミョウガ等の野菜の味わいが次々と重なっていって……いやぁ、春風の中で、のどかな田園風景を眺めるような、ゆったりとした気分にさせてくれます。しかも、調味料によるフィルターが視界にかからないため、実にクリアで、実に生き生きとした風景……あぁ、極楽。

しかも、野菜の美味しさだけではありません。肉厚のチャーシューは肉汁タップリ、しかも雑味のない健康的で活き活きとした味わい。味玉も低コレステロールの卵を使い、醤油によるキリットした味付けがまたビビッドで……野菜に満ちた「のどか」な風景に「牧歌」が響き渡るような、実に抒情的なクライマックス。

「極煮干」というハードなネーミングとは裏腹な、何ともナチュラルで清々しい味わいの一品。なにがなし、フェデリコ・フェリーニの名画に出会ったような「感動」があります……ハードな宿命を背負った名もなき人の生き様を、絵画のように美しく、どこまでも抒情的に描いて見せた名監督。ラーメンも映画も、押しとメリハリばかりがやたら強く、ガチャガチャうるさい作品が幅をきかせるこの時代だからこそ、「寡黙な美しさ」が光るのかも知れません。
店舗情報は、こちら。
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