2021/10/26
三田製麺所 有楽町店@日比谷 「特濃煮干しつけ麺」

ラーメンの世界というのは、「前人未踏」の地を切り開いてナンボという側面もアリ、エキセントリックというか、「その領域は『前人未踏』ではなく、結果が見えているので誰も近づかないだけでは…」という一杯に出会うことも。こういうとき、「三田製麺所」さんのような「手練れ」なら、どうまとめるのか気になったりするものですが……ちょうどそういうタイミングでそういう限定に出会いました。

有楽町店は2010年オープンとか、その頃私は銀座・新橋方面がホームベースでしたが、全く気付きませんでした……私、結構「三田製麺所」さんは昔通ったんですよ。特に、「辛つけ麺」が好物でして……しかし、いつからか「煮干し祭り」が「秋の定番」になっていたことも知らず、お詫びの言葉もありません。もちろん、「特濃煮干しつけ麺」(900円)で。
つけ汁表面に浮く、おそらく「セメント」化した大型の煮干しと思われるどす黒いソースが、なんとも「凶暴」な雰囲気を醸す丼景色。チョイと混ぜて、つけ汁をひと口……いやぁ、納得の「距離感」。長崎県・五島列島産の煮干しをすり下ろしたセメント系ソース、コイツが「三田製麺所」さん独特の濃厚豚骨魚介スープに深く馴染んで、苦く、重く、濃い味わいですが……でも、万人が受け止めることができるギリギリの領域を攻めてあり、「前人未踏」手前の「商業的カッティングエッジ」の範囲で商いされておりますな。いや、コイツは結構美味い。
麺は、三田製麺所自慢の自家製麺で、つけ麺用に研ぎ澄まされたセッティング。ツルリとした口あたり、モチモチとした噛み心地、そして力強い甘味とスムーズなノド越し、つけ麺用としては、全く文句のつけようがありません。コイツが苦く、重く、濃いつけ汁をドップリとまとい、口の中で交わるわけですが……麺の甘みがすべてを受け止め、堂々とバランスしてしまうという「剛腕」ぶり。いやぁ、さすが「三田製麺所」さんとしか、称えようがありません。
具材は、チャーシュー、メンマに、刻みタマネギ・スプラウト・ネギといった薬味類、そしてチョイと刻み柚子をのせてあります。チャーシューは小型のものが2、3枚、メンマも材木型が2、3本と具材は控えめ。しかし、刻みタマネギやネギのバランスや下ごしらえはつけ汁にピッタリ合わせてあり、このあたりの「距離感」も見事。割りスープは卓上ポットに入れてあり、中身は煮干し出汁の模様。ただ、つけ汁が濃厚煮干しで、これに煮干し出汁を加える形となって、味が薄まるだけで変化はイマイチ。

超濃厚煮干しという領域を攻めながら、アートでもなく趣味作品でもなく、「商業的に収益性が見込める」商品とするための「距離感」に、長年の経験と勘がヒシヒシ感じられる、見事な一杯。大昔に、「辛つけ麺」を発売された時も、この絶妙の「距離感」に驚かされましたが……またいずれ、この「距離感」を味わいに参ります。
店舗情報は、こちら。
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