2022/09/18
山田の鰻@飯田橋 「松」

なんと鰻の骨100%のスープで、土曜昼だけラーメンを出す店が飯田橋にできたとか。ただし、あそこは行列店御用達の物件(立地&建物)で、私のような行列嫌いはとても近寄れない場所のため、前を通るだけと思って行ってみますと、店外3人待ちのみとイケそうな雰囲気。しかも、5分ほどの待ちで、4人とも入れてもらえました。

6月オープンのこのお店、もちろん本業は鰻屋さんで、ラーメンを出すのは土曜11時から売り切れまで、この日は12:45に待ち列に接続した方で売り切れでした。鰻は、鹿児島県志布志で「無投薬」養殖を手がける山田水産が現地から直送したもの。

メニューは、「鰻骨ラーメン+薬味・漬卵黄」の「梅」と、これに「刻み鰻蒲焼+ご飯」がプラスされる「竹」、ご飯の代わりに「ミニ鰻丼」がつく「松」の三種類。隣客の「ミニ鰻丼」をチェックすると、コイツがなかなか美味そうで、「蒲焼きのタレがしみたご飯と鰻骨スープでおじやなんぞ……」などと想像を膨らませながら、「松」(1,800円)を注文しました(後払い制)。
カウンターと厨房の仕切りがないため製造工程がよく見えますが、香味油が緑がかっているのが印象的、聞けば「山椒を使っているので」とのことでした。まずは、スープをひと口……うわぁ、上品なのにある意味「濃厚」ですな。自慢の「無投薬」鰻の骨100%で作ったというこのスープ、全くの新ジャンルで比較対象がないため、少し強引に味わいを表現すると、「鰻の白焼き」の風味・旨味・甘みをピュアに抽出して、グッと濃縮したような味わい。ネット情報では「麺屋武蔵」が開発に絡んでいるそうですが、たしかにこの「濃厚感」には通じるものがありますな。
麺は、極細のストレート。能書きには「3度に渡り圧延をかけた6層の低加水麺」とあり、確かに見かけは博多麺のようですが、カタメのゆで上げなのにポリポリ感はなく、シッカリとしたコシと粘りで咀嚼に重みがあって、「食べ応え」十分。風味・甘みも実に強く、コイツはすごい麺使ってますなぁ……序盤は、上品なスープに対して麺が勝っている感じ。
具材は、細切りの蒲焼と胡麻をまぶした「漬卵黄」、それに白髪ネギにネギ細切りを絡めた上に、ミョウガをプラス。まず蒲焼ですが、これがつかない「梅」はオススメしません。養殖とは思えない引き締まった身は、蒲焼にしても鰻本来の風味が実に豊か。さらに、蒲焼のタレがスープに沁みだし、「濃厚白焼き」系の味に「立体感」をプラス、後半グイグイと麺の味とコラボして、終盤は絶品のバランスに。さらに白眉はこの「漬卵黄」で、食べながら習得したのは「分割加熱法」で、細かく箸で切り分けて、スープの熱で「半熟」程度に溶かしますと、醤油&卵黄の濃厚な味わいが最大限に発揮され、麺に絡めれば際立ったデコレーションに。
ミニ鰻丼の蒲焼も、ビシッと引き締まった身に驚きますが、通常養殖でフワフワした身の「スーパー特売蒲焼」に慣れた身としては、異次元の風味の強さ。この蒲焼のタレをご飯に意図的に移し込んで、そのご飯をレンゲでスープに浸して「おじや」にしますと……いやぁ、眩暈がするほどのカタルシス。これが楽しめるというだけで、1,800円の価値はあります。

行列嫌いの私が、幸運にも到達できた「味の極致」。特に、「鰻のラーメン」といいつつも、大方の予想を裏切って、白焼きから語り起こして蒲焼につなげ、それを骨太の麺でグイッと一本筋を通すというやり方が……やはり終始、「武蔵」の影を感じた、極上の一杯。「鰻骨スープ」というイノベーション、またラーメンの「地平」が大きく広がりましたな。
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