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香麺処 空@人形町 「鶏塩らーめん」

空@人形町・20170416・交差点
 桜が満開になると、直後に雨が降るのは毎度のこと、この日も朝からずっと雨。濡れぬように、地下鉄出入口近くの宿題店から人形町「空」に再挑戦してみることに。ここには2週前に一度フラれています。
空@人形町・20170416・店舗
空@人形町・20170416・券売機
 この店を出したのは近くのイタリアン・バル、能書きによれば「和食・フレンチ・イタリアンの料理人のプライドをかけ、理想のおいしさを追求」したとか。メニューは「鶏塩らーめん」と「醤油らーめん」の2系統、まずは、筆頭ボタンの「鶏塩らーめん」(800円)に「味玉」(100円)つけて、ポチッとな。空@人形町・20170416・店員さん

 なんともきさくなご主人で、「僕のことも撮ります? 撮ります?」とのリクエストで、私としては珍しく1枚パチリ。「なんでも聞いてください!」とのことでしたので、いくつかうかがいながら食しました。
空@人形町・20170416・美濃焼
 麺ゆでの時間は結構短く、アッというまに丼到着。いわゆる蓋付丼で、ラーメン店としては珍しいスタイル(記憶では昔新宿に1軒あり)、聞けば特注の美濃焼で細部まで職人さんと拘ったそう、「器も含めて楽しんでいただきたくて」とのこと。
空@人形町・20170416・鶏塩空@人形町・20170416・スープ
 ふたを開けると、なんとも華やかで賑やかな丼景色、レンコンによる彩りに、どこか京都的なセンスを感じますな……(聞けば修行先は京都とのこと)。まずは、スープを一口……これはもはや、「ラーメン」の域を超えていますな。大山鶏のガラがベースですが、鶏油を慎重に取り除いて旨味だけを凝縮しており、鶏の風味は非常に微か。聞けば、挽肉を使うコンソメの製法で、味の深みと透明感を出しているとか。これに絡む塩ダレも、キレ・コクを加えるというよりは、鶏の旨味を「解放」させるような使い方。「ラーメン」的な外連味を一切廃し、鶏の旨味の「深さ」だけに拘った構成で……ある意味、非常にアヴァンギャルド。
空@人形町・20170416・麺
 麺は、三河屋製麺製の中太縮れ。加水率高めでプックラとした口あたり、口腔でも実にビビッドな躍動感を発揮して、ある意味「三河屋さんらしくない」食感です。聞けば、特に指定して冷凍状態で熟成させたモノだとか。そのせいか、多加水麺特有の味の透明感と甘みの豊かさが見事に両立、非常にハイクォリティな仕上がりです。
空@人形町・20170416・具材
空@人形町・20170416・鶏チャーシュー
 具材は、鶏チャーシューに鶏節、メンマにレンコン・チップ、そして薬味のネギ・胡麻・三つ葉。鶏チャーシューは低温調理モノで薄味仕上げですが、ほうじ茶の香りを移して風味をソリッドに仕上げたモノ。メンマも、特に能書きに書いていませんが、穂先あたりの部分を使い、風味豊かに仕上げています。それに、珍しく胡麻の風味が結構引き立っており、聞けば「鶏油に胡麻の風味を移したモノを少し使っている」とのことでした。

空@人形町・20170416・能書き 「『ラーメン』という枠を超えて、料理として高めていきたい」、このご主人の言葉が、すべてを象徴する一品。味の「深み」だけに拘るというシンプルな製作意図ですが、それゆえ「ラーメン」を食べに来た人には分かりにくい……私はあまり詳しくないのですが、社会学や認知心理学には「フレーム」という考え方があり、だいたい「その場の事象に対する参加者の認識の枠組み」という意味。ラーメンを食べに来た人は、自ずと味を「ラーメン」というフレームで受け止めるのですが、提供する側が「料理」というフレームで味造りをした場合、そこにフレームの不一致が発生し、得てして誤解が生まれる。これを「料理」として捉える努力が、客側に求められるわけですが……それは結構難しい。しかし、普通無化調のラーメンを食べた後は味がスッと舌から消えるものですが、帰りの電車の中でもまだジンジンと舌に疼くこの余韻、この「深み」が本物である証拠ですな。能書きからは、「醤油」の方がまだラーメンの「フレーム」としては分かりやすそう。近日中にまた来ます!

 店舗情報は、こちら

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コメント

勉強になります!

ご来店ありがとうございました!!本当に貴重なご意見ありがとうございます!!
「フレーム」という事、とても勉強になります!! ラーメンを食べに来たのにラーメンを食べている感覚ではなかったのでしょうか。なぜなんでしょう。。この記事を読ませて頂いてから頭から離れません。もし良ければもう少し詳しく教えて頂けませんか? ダメだしして頂ける有り難さ!!もっともっともっともっと美味しくしたいんです! これからまた麺もかえしも変えていきます。
何卒未熟者ですが、これからもどうかよろしくお願い致します!

Re: 勉強になります!

先日はお邪魔させていただき、実に美味しい一杯をいただきました!
ありがとうございました。また、お邪魔させていただきます。

> ラーメンを食べに来たのにラーメンを食べている感覚ではなかったのでしょうか。なぜなんでしょう。。

「フレーム」とは別の言葉で言えば、「距離感」でしょうか。

「鶏塩」というラーメンに対するイメージは、もちろん一人一人違うのでしょうが、概ね「最大公約数」的な範囲があって、そこから何歩踏み出すかということだと思います。

ある範囲なら「新しい!」と感じ、それを越えると「違う!」と感じる。

私のような素人は言葉でしか説明できませんが、例えば神楽坂「ふぅふぅ亭」さんの鶏塩などは、シェフ出身のご主人が、面白い「距離感」をとられていると思います。
また、稲荷町「稲荷屋」さんも同様ですが、レギュラー・メニューでは「距離感」を縮めた上で、限定メニューで思い切り「遠く」(フレンチ的)のメニューを出しておられます。

ご参考になれば。
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プロフィール

miles

Author:miles
 千葉南西部や都心のラーメンを食べ歩きながら、某サイトへ5年にわたりアレコレ書いてきましたが、都心に引越し連載も1,000回を越えたあたりでこちらへシフト。他の話題についても「So What?」な気分で、アレコレ書いていこうと思います。
 とはいえ、ほとんどラーメンの話題になってしまうのか……

年齢:マジ・オッサン
仕事:銀座・新橋から離れ、今は世田谷系・半フリーランス
オッサンゆえの自己ルール:
 ・6人以上の店外行列はパス
 ・週3杯以内、日1杯以内
 ・連食・副食・大中盛NG
 ・移動は電車&徒歩
 ・移動時間30分以内
 ・飲み後のシメNG

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